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人間の思春期にあたる“繭期”を迎えた美しい吸血種=ヴァンプたちを描き、2009年の初演以来、繰り返し上演されてきた末満健一作・演出の人気作『TRUMP』。4演目の今回は、主人公ソフィ/ウルの2役を早乙女友貴と高杉真宙のふたりが交互に演じる「TRUTH」バージョンと「REVERSE」バージョン、さらには配役をシャッフルした「MARBLE」バージョンの3バージョンでの公演となる。
ともに19歳の早乙女と高杉の共演は、2012年の『里見八犬伝』に続いて3年ぶり。「初めて会った時、僕が人見知りして誰とも話せなかったのに対して、友貴くんは大人っぽいし落ち着いていたので年上感が強くて。殺陣もカッコ良くてすごいなあと感じていました。今回も、親身になって色々と教えてくれる優しいお兄さんです」と高杉がおどければ、「真宙くんは僕より背も低くて幼い印象だったから、年下かと思っていたんです。でも今回、久々に会ったら『でかくなってる!』って(笑)。稽古場でもけっこう話しかけてくれるので、明るくなったんだなと思います」と、早乙女が笑顔で返す。
ヴァンプの名門に生まれたウルと、人間とヴァンプの混血として蔑まれているソフィ。性格も境遇も対照的な2役だ。「ウルには目的があるけれどソフィにはなく、周囲に流されていく。僕がこれまで演じた役はウルに近かったので、ソフィのようなクールな役は新鮮で、発見も多いです。真宙くんと僕はタイプがまったく違うので、自ずと異なるウルとソフィになると思います」と語る早乙女に対し、「僕が今まで演じてきた役はソフィに近い。ウルは僕にとって初めてに近いくらい明るい役柄です。自分と同じ役を演じている友貴くんの演技を見て『ああ、そういう解釈なんだ。そうかもしれない』と考えて、そこから僕の演技が変わったりもしますね」と高杉。
台詞の覚え方ひとつとっても、稽古場で覚え、家には一切持ち込まないという早乙女に対し、高杉は朝、稽古場へ行く前に部屋を真っ暗にして覚えるといった具合に対照的。「暗い部屋でも目が慣れると字が読める」と言う高杉に、早乙女が「ヴァンパイアになってるんじゃないの!?」とツッコむ一コマも。
3バージョンをこなす稽古はハードだが充実している様子。「初めて挑戦することも多いし、どうしたらいいんだろうって。必死です。どのバージョンも楽しんでもらいたいですし、僕らならではの『TRUMP』を作って、今後再演されてもこれを越えられないっていうくらいのものにしたいです」(高杉)
「覚えることが多くて、汗だくになりながら頑張っています。この作品の大きなテーマは生と死。ファンタジーの中に、男同士の友情や情熱など様々な思いも詰まっているので、しっかりと表現したいですね」(早乙女)
公演は11月19日(木)から29日(日)まで、東京・Zeppブルーシアター六本木、12月4日(金)から6日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて。
取材・文:高橋彩子
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