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「実験落語」をご存知だろうか。1978年から86年にかけて、渋谷ジァンジァンで毎月開催された、三遊亭円丈が主催していた新作落語の会である。現代的なモチーフと言葉を用いながら新たな方法論でネタおろしを行い、代表作『グリコ少年』等を生み出した。その存在は、春風亭昇太、柳家喬太郎など新作を手がける後進の落語家たちに大きな影響を与えたと言われている。 その「実験落語」が6月、渋谷のCBGKシブゲキ!!で『実験落語neo〜シブヤ炎上〜』として復活する。高座を目前にした、三遊亭円丈に復活に込める想いを聞いた。
「渋谷は新しいものが生まれやすい土地だと思います」と語る円丈が、新しい実験に一緒に挑むのは、実験落語メンバーの林家しん平、かつて立川談志門下であり、一時実験落語メンバーでもあったダンカン、実験落語の系譜を汲む落語ジャンクションメンバーでもあり、スタンダップコメディの名手として英国でも大喝采を浴びた清水宏、当代きっての若手講談師・神田松之丞だ。中でも、林家しん平には「天才ですね。三題囃といって、お客さんに適当なお題を三つだしてもらって、即興で演じる演目があるんですが、(しん平くんの三題噺は)時間軸がきちんと推移していく。彼の思考の秘密を解き明かしたい」と信頼を寄せる。
円丈いわく、新作落語の一番の魅力は「ネタにならないものはない。どんなことでも落語になるところ」とのこと。「『グリコ少年』はグリコの会長が亡くなったことがただただ悲しくて、その悲しさを落語にしたら、ウケたんですよね。ウケるつもりは全くなかったんですけれど。『競走馬イッソ−』もダービーで負けたから、元を取ろうと思って作りました」
元々学生時代より演劇に携わっていた円丈だが、落語の特徴を「落語は感情がシフトできるものだと思います」と分析する。「最初はある男を馬鹿にしていたけれど、側面から見たり、裏から見ると、徐々に悲しみにシフトしていく。ひとりで話し続けているからこそ、ひとりの人物を掘っていけるところがあります。何もないところから作っていける点でも、落語は大したもんだと思います」
70代になってもなお、新作落語を作り続ける円丈とこの実験に挑む4人の化学反応をこの目で確かめたい。
公演は6月9日(木)午後7時開演。チケット発売中。
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