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佐々木蔵之介と北村有起哉が、ナチスの強制収容所という極限状態で貫いた愛を描く舞台『BENT』。7月の上演に先がけ稽古場でトークセッションが行われ、ミッツ・マングローブの進行のもと、主演の佐々木、北村、演出の森新太郎が本作について語り合った。
本作は、第二次世界大戦下のドイツを舞台に、セクシャルマイノリティの人々が受けた弾圧と、その中で育まれる究極の愛を描いた物語。ゲイをストレートに表現した世界で初めての演劇作品と言われており、佐々木演じる主人公・マックスを、海外ではリチャード・ギア、日本では役所広司や椎名桔平といった名だたる名優たちが演じてきた。
演出の森は「戯曲を読んだのは10年位前になると思うのですが、そのときとにかく泣けちゃったんですね。涙腺が崩壊して、こんな泣けてしまったものは自分で演出できないんじゃないかと思うような作品でした。今回、パルコに提案する前にもう一回読んだらやっぱり泣けてしまって。演出プランを作るときに読んだらまた泣けてしまって。こんなに泣ける戯曲は僕の演劇人生ではない」。
佐々木は「戯曲を読んでいくと、僕と北村さんの間で互いの顔を見合わせることもなく、触れることもなく、ふたりで愛を確かめ合うシーンがあって。これはまさに演劇の醍醐味だなと。できるかどうかわからんけど、森さんとやってみようと決めました」
北村は「僕もほんとに読む度に泣いちゃって。演じてるときも本当にクッとこらえてがんばんないとってくらい、作品としてすごく力がある。ちょっとでも客観的になると泣きそうになるので、しっかり手綱を握っとかないと」と、それぞれ本作について熱く語る。
ミッツからの「同性愛者を演じるというのはいかがですか?」という質問には、佐々木が「北村さんが稽古場で、裸足に雪駄をはいて、足を触りながら本を読んでるんですけど、それすら愛おしく見えてきた」と告白。北村は「エアセックスのシーンがあるんですけど、お客さんもドキドキすると思います」と見どころを紹介した。
森は「ナチスの抑圧というのが前面に出ていますが、差別や偏見の壁というのはいつの時代、どの社会でもなくなったことはない。数日前には銃乱射事件も起きて。日本ではあそこまでのことはないですけれども、ああいう社会の不寛容さがある以上、この作品はやられ続ける価値があるんじゃないかと思います」と語った。
「国境も人種も性別も超えたストレートな愛の話です。ぜひ劇場で観て頂ければ」(佐々木)
PARCO Produce『BENT』は、7月9日(土)から24日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて。
撮影・取材・文:中川實穗
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