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2004年に東京セレソンデラックスで初演され、テレビドラマにもなった『歌姫』が、その作者・宅間孝行自身によって蘇る。宅間が仕掛けるエンターテインメントプロジェクト“タクフェス”の第4回作品として上演される今回は、ヒロインにAKB48の入山杏奈が決定。これが初舞台となる入山を迎え、脚本・演出・主演を担う宅間は何を狙うのか。
宅間が9年ぶりに『歌姫』の上演を決めたのは、昨年の劇団EXILE版を観たのがきっかけだ。「観客として客観的に観て、今でも充分に通用するなと思ったんです。むしろ、自分の作品のなかでは反戦のメッセージもあるものなので、今の時代にこそ合っているんじゃないかと。といっても、決して堅苦しい作品ではないので、テーマは根底にありながら、最高のエンターテインメントを作ることができるんじゃないかと思ってるんですね」。そして、戦後のドサクサで記憶喪失になった男と、彼を愛する女性の純愛物語を描くにあたって、明るく元気はつらつなヒロインに抜擢したのが入山だ。「これを決定版にしたいなと思ったときに、あまり色がついていない新鮮な人とやったほうがいいと思った」と宅間はいう。また何より、普段の入山に、役とは正反対の静かで大人っぽいイメージがあることも大きかった。「これまでにない彼女を見せられたら、ファンの方も含め、みんながびっくりして面白がってくれるんじゃないかなと思うんです」。
入山自身も宅間の思いは心得ている。「自分とは違う役だからこそ、やってみたいと思いました。初めての舞台は怖いですけど、20歳になったので、これまで経験したことのないものにチャレンジしていきたいと思っているんです」。演技はドラマや映画で経験済み。「“もっとこうすればよかった”と思って毎日つらかったです(笑)。でも、だからこそ生きてるっていう感じがしたので。もっともっと突き詰めていきたいと思います」と意欲的だ。その熱意には宅間も「最終的には、お客さんのためにどれだけ妥協せずに向き合うかということが大事になってくるので、その気持ちがあれば大丈夫」と太鼓判を押す。
その観客のためには、宅間は「お客さんが芝居の当事者になれるような仕掛けを考えている」そうだ。そもそも宅間曰く、アホなキャラクターが満載の「動物園のような」芝居である。入山も「身を預けて今まで開けたことのない扉を開ければ」とコミカルな芝居を予感させる。楽しませることが第一目的の“タクフェス”ならではの傑作になるはずだ。
公演は10月5日(水)からの東京公演のほか、今年9月〜11月に全国6都市をめぐる。東京公演のチケットは明日6月21日(火)午前11時まで抽選先行プレリザーブを受付中。
取材・文:大内弓子
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