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激しく足を打ち鳴らす音と手拍子、掛け声の余韻がいつまでも耳に残る…。そんなフラメンコの舞台『「フラメンコ・カフェ・デル・ガト』が大阪・サンケイホールブリーゼで幕を開けた。同作は、湖月わたる、水夏希、原田薫で結成された「BAD GIRLS」が、異国のダンスに挑戦する「ダンス・レジェンドシリーズ」の第3弾。今回は、スペイン人舞踊家でマリア・パヘス舞踊団第一舞踊手のホセ・バリオスが構成・演出・振付を手掛けた。「BAD GIRLS」のメンバーに、元宙組男役スター緒月遠麻、ダンサー大貫勇輔を迎え、皆、マドリッドで約1ヵ月間の稽古を積んだという。そのメンバーにスペインから招聘した女性ひとり、男性4人の若手実力派のフラメンコダンサーが加わった。
1幕目は、スペインの酒場「カフェ・デル・ガト」で、長女ローラ(湖月)、次女カルメン(緒月)、弟ルイス(大貫)ら兄妹がフラメンコを踊り始める。そこへ仲間を連れた闘牛士が登場。スペイン人を含めたキャスト全員が踊り、その迫力、華麗さに目は釘づけになった。日本人女性キャストは、踊りながらマントン(大型のショール)を回したり、アバニコ(扇)を振ったり、難しい小道具も使って美しく優雅に見せる。大貫はスピーディにステップを踏み体の切れも抜群だ。日本人キャストは皆、フラメンコ初挑戦だが、スペイン人キャストに引けを取らない。「ダンスのジャンルが違っていても『核』があれば踊りこなせる」と、大貫が取材で語った言葉を全員が体現している。
ローラは闘牛士に心を奪われ、女たらしの彼と付き合うことを許さないルイスは怒り狂う。ルイスと闘牛士がバストン(杖)で地面を激しく叩き合って闘うシーンは、そのバストンの音、ダンサーが奏でる箱型の打楽器カホンのリズム、ダンサーが足で床を鳴らす音が、大雨のように舞台を打ち続け強烈な印象を残す。さらに、闘牛士を誘惑するマリア(原田)まで現れ、店の主人アナ(水)は混乱した状況を収めようとするが…。意外な結末は見てのお楽しみだ。
第2幕は、アンダルシアを舞台に、キャストが各地を旅するようにフラメンコで表現するショーが展開。土地によって違う独特の音楽や踊りが堪能できる。日本人女性キャストが、アルメリアでパンツスーツを着てジャズダンスを踊る場面は、マニッシュで「BAD GIRLS」らしい魅力が満載だ。また、スペイン人キャストがセルビアで踊るシーンは、一秒ごとに振付けをしているかのような緻密で繊細な手と足さばきに圧倒される。息をするように踊り、大地を踏みしめて力強く生きることがフラメンコだと実感した。日本、スペインの両キャストが美しく調和しそれを伝えてくれた。
この後、6月29日(水)から7月4日(月)まで東京芸術劇場 プレイハウスで上演される。チケットは発売中。
取材・文:米満ゆうこ
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