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今から60年前、ニューヨークで幕を開け、日本を含め世界中で上演されている名作ミュージカル『マイ・フェア・レディ』。日本では、2013年にG2を演出に迎え、キャストも一新した同作が、再び上演される。前回に引き続き、ヒギンズ教授を務める寺脇康文に話を聞いた。
「セリフも演出も前回よりかなり変わって、深くなっています。例えば、前回はそりの合わないイライザとヒギンズが、段々と惹かれ合っていく構図だったんですが、今回はより複雑になり、最初にふたりが出会うシーンから、互いにビビッとくるものがあったはずだという解釈です」。ロンドンに住む貧しい花売りの娘イライザが、淑女になるため、言語学者のヒギンズから、上流階級の言葉や礼儀作法を教わり、美しい貴婦人へと成長していく物語。日本でも「源氏物語」で紫の上を好みの女性に育てる光源氏が描かれるが、男性にはそんな願望があるのだろうか。「男女共にあると思います。でも何をしても結局、男は女性に教育され、手のひらの上で転がされる(笑)。威張り散らしているけれど、ヒギンズも同じですね」。言語に厳しく偏屈もののヒギンズだが、寺脇が演じると何ともいえない色気がありチャーミングだ。「彼は子供がそのまま大人になったやんちゃ坊主。バカだけど守ってあげたくなるような男の一面も出したいんです」
演じることは寺脇にとって、「相手によって音楽の種類や演奏法が変わるセッション」だという。前回同様、イライザを霧矢大夢と真飛聖がWキャストで務める。「霧矢さんは芯の通った男気のあるイライザ。真飛さんには『どうしようもねぇなコイツ』と、小学生の女の子に接する感じですね」。ふたりに対してヒギンズは、包み込んだり、突き放したりと今回も違う音楽を奏でるそうだ。
また、上流階級の言葉が習得できず自暴自棄になるイライザに対し、ヒギンズが「言葉は人の心に流れる気高いもの、創造力に富んだ音楽的な集合体だ」と語る名台詞がある。「役者としても感慨深いセリフです。前回はやさしくそう言っていたのですが、G2さんが『男はもうダメだと思ったらダメ。女性はもうダメだ…、からまだ余力がある』と名言をはかれて(笑)。今回はイライザに対する最後の鞭として、叱咤激励する感情を込めたい。あの言葉は彼女に勇気と活力を与えるのですから」
最後に舞台に立つ意義を聞いてみた。「世界中で紛争が起こり、悲しいニュースが多すぎる。僕らにできるのは、いい作品を作り人の心を豊かにすること。現代の日本で、貴族や上流階級はあまり関係がありませんが、人間は生活や考え方、心の持ちようも含めて少しでも上昇し成長したいはず。そこを自分と重ねてこの舞台を見てほしいですね」
公演は、7月10日(日)から8月7日(日)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウス、8月13日(土)・14日(日)は愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、8月20日(土)から22日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。
取材・文:米満ゆうこ
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