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京都を拠点に活動するヨーロッパ企画が、近くて遠い大阪の、それもディープなイメージのある「新世界」の街を舞台にした新作を上演する。新世界のおっさんがドローンと闘ったりする、来るべき未来を描くSFだ。それを大阪弁にした『来てけつかるべき新世界』をタイトルに、作・演出の上田誠と劇団員たちが、ヨーロッパ企画の新世界を目指す。
昨年の文房具を使った『遊星ブンボーグの接近』など、実験的なコメディを創作してきたヨーロッパ企画。今回はその題材が、新世界のおっさんになった。上田はそのアイデアの発端をこう話す。「僕のなかのおっさんのイメージは、平日の昼間に喫茶店や銭湯にいる人たち。新世界はそういう人たちの天国だと思うんです。そして、これからドローンとかロボットアームとかのテクノロジーが人間の仕事を奪うようになっていったら、そういうおっさんが増えるんじゃないかと。未来を先取りする意味でも、おっさん×テクノロジーを描きたいと思ったんです。あと、京都に生まれ育った自分として大阪の南のほうの下町には憧れがあって、大阪のお笑いも好きなので。満を持して、大阪弁の大阪の劇を作ってみようという思いもありました」
おっさんを描くとなれば、上田ならではの緻密な劇構造の面白さはそのままに、おそらく、役者にかかる比重が大きくなるだろう。劇団員はおっさんへの意気込みをそれぞれにこう語る。「年齢的には僕らもおっさんにさしかかってるので、機械と格闘するおっさんというのを大人数でやったら、ちょっと変わったことができるんじゃないかと」(石田剛太)「おっさんの極意は“どこにでもおれる”こと。僕も最近そういう経験をしたので、おっさんになれるなと思いました」(角田貴志)「僕は運が悪いので、ドローンが自分に飛んで来るところしか想像できないんですけど(笑)、格闘してみます」(中川晴樹)「宮崎出身なので大阪のおっさんにはなじみがないんですけど、自分の知らないものを演じるのは逆に楽しそう」(永野宗典)「人と適当に大雑把に会話できるようになったのは、自分がおっさんになってきたからかなと。そこを拡大して演じたいです」(本多力)。今回は、彼らとほかの劇団メンバーに、福田転球という破壊力を持つおっさんと、金丸慎太郎、藤谷理子という個性派が参戦。「せっかく転球さんもいて下町を描くので、人情ドラマにまで踏み込みたい。ヨーロッパ企画の新章に突入できたらと思っているんです」と上田。ヨーロッパ企画がまた面白くなりそうだ。
ヨーロッパ企画第35回公演『来てけつかるべき新世界』は9月3日(土)滋賀・栗東芸術文化会館さきら 中ホールでのプレビュー公演を皮切りに、京都、東京、広島、福岡、大阪、三重、高知、神奈川、愛知を周る。チケットの一般発売は7月23日(土)午前10時より。
取材・文:大内弓子
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