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10日より第38回PFFぴあフィルムフェスティバルが開幕する。やはり目玉は新たな才能を発掘するコンペティションのPFFアワード。今年は483本の応募作の中から、20作品を選出。自主映画なんてと侮るなかれ。PFFは、現在の日本映画を支える錚々たる監督を輩出し続けており、石を投げれば当たるほど。今年の作品群にも未来の巨匠がいるかもしれない。そして何より、そのオリジナリティには触れる価値がある。たとえば、“汚部屋ラプソディー”なるキーワードを耳にしたら、何を想像する?
小松孝監督(34)の『食卓』は一風変わった家族もの。とある一軒家。それまで互いの領域を侵さず、食事も別々だった父と息子のもとに、新しい母がやってきて食卓を囲むようになったことで、止まっていた家族がステキに動き出す、といった話では、もちろんない。
とあるゴミだらけの一軒家。父は年金生活を送るしょぼくれたアル中のオヤジで、息子もすでに中年のこれまたオヤジの、ニートで詩人、といっても自称の詩人か。母はすでに亡くなり、男ふたり所帯。そこに参入してきた新しい母も、どこか怪しげだ。この3人が物語を紡いでいくのだが、本編にはセリフがほぼナシ! 序盤は父と息子の暮らしぶりを淡々と描写。トイレで立ちションしながら、片手でハンバーガーを頬張る父(ウエッ)に、写メを撮っては汚部屋にこもり、SNSに写真やポエムをアップする息子。髪の毛も淋しいふたりのオヤジの、交流なしに繰り返されていく日々が、見ていてなぜだか飽きない!
そして新たに加わる母。彼女は、父がネットの結婚相談所で見つけた女性だ。彼女を迎えるために部屋を片付け、酒を捨てる父。やってきた母が作った料理が並ぶ食卓を囲む3人。こ、これは何かが変わるはず、と普通は思うわけだが、現代の家族は、幸せの象徴であったはずの食卓を囲むようになっても、予定調和には進まない。しかしやがて食卓は、予期せぬ方法で呪縛から解き放たれる。
セリフを極力廃したまま、シンプルかつ軽快に奏でられるバックミュージックのもと、最後まで見せ切る本作。ディティールまでこだわって作られた汚部屋と、汚部屋ならではの小道具の使い方がニクイ。商業映画の俳優では決して出せない、父と母の醸し出す空気や、息子が朗読するポエムもクセになる。
第38回PFFぴあフィルムフェスティバル
9月10日(土)から23日(金)まで 東京国立近代美術館フィルムセンター(月曜休館)
文:望月ふみ
関連リンク(外部リンク)
- その他の画像
- 「PFF ぴあフィルムフェスティバル」特集サイト
- 「PFF ぴあフィルムフェスティバル」公式サイト
- 「青山シアター」PFF特設サイト
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