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今年1月のサンダンス映画祭で観客賞と審査員賞をダブル受賞して話題になった『The Birth of a Nation』が、トロント映画祭で公式上映され、記者会見が行われた。本作は、19世紀の米南部で奴隷の反乱を指揮したナット・ターナーの自伝映画で、これまでほぼ無名だった黒人俳優ネイト・パーカーが、監督、脚本、主演を兼任する。
主人公は少年奴隷のナット。彼がこっそり読み書きを学んでいたことを知った白人オーナーのエリザベス(ペネロペ・アン・ミラー)は、特別に彼に教育を与える。しかし奴隷は奴隷。その後、ナットはほかの奴隷同様、農作業に戻るも、やがて黒人奴隷に向けてのキリスト教の説教を行う任務を背負わされるようになった。そうやってあちこちを周り、黒人仲間が受けている残酷な仕打ちを知るうちに、彼の中で反乱への気持ちが積み重なっていく。
かつては友達みたいだったのに、だんだん支配的に変わっていくエリザベスの息子サミュエルを演じるのはアーミー・ハマー。「彼にも、とても人間的な側面があるんだよ。人は、生まれながらにして悪魔なのではない。そんなふうに形作られていくのだと思う。その事実は現在にもつながる。その部分に惹かれた」と、ハマーは会見で語った。
パーカーにとっては長編映画監督デビュー作。当初、彼は今作に別の監督を探していたらしい。「監督は前からやってみたかったが、勇気がなくて、短編をいくつかやるにとどまっていた。このアイデアに出会った時も、ふさわしい監督を探そうと思ったんだよ。でも、これは君がやるべき話じゃないかと言われ、怖かったが、やってみようと決めたのさ。自分の経験が浅い分、周りを経験豊かな人で集めて挑んだよ」(パーカー)。
今作には、女性の黒人奴隷が、白人男性からレイプをされる場面も登場する。そんな折、パーカーが17年前にレイプ疑惑で起訴されていた事実が再浮上し、論議を巻き起こした(パーカーには無罪判決が出ている)。本日の会見で、パーカーは「個人的な話で時間を取られてこの映画について語る機会を失うことになりたくない」と、婉曲的にこの問題についての直接の答えを避けている。公式上映は大絶賛を受け、共演者らも「ひとりの俳優に対する意見のせいでこの映画を見ないと決める人がいるとしたら残念」などと、スキャンダルに惑わされず、映画は映画として観てほしいという思いを、会見で伝えた。
取材・文・写真:猿渡由紀
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