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かつての恋人に裏切られた女が金持ちの未亡人となって、恋人の住む財政破綻した故郷に帰って来る。財政援助と引き換えに望んだ条件は、恋人の死だった…。昨年、衝撃的なストーリーで大ヒットしたミュージカル『貴婦人の訪問』が、早くも年末に再演される。その未亡人クレアを演じるのは涼風真世。秋に再び出演した『エリザベート』でも冷酷な皇太后を見事に演じ、難役の挑戦が続く。涼風に本作に懸ける思いを聞いた。
スイスの作家フリードリヒ・デュレンマットの作品『老貴婦人の訪問』は、イングリッド・バーグマン主演で『訪れ』として映画化もされ、2014年にウィーンでミュージカル化。少女時代はギュレンという街で、恋人アルフレッド(山口祐一郎)と幸せな時期を過ごしたクレア。しかし、彼に裏切られた怨恨を忘れられないクレアは、大金を武器に、ギュレン市民たちにアルフレッドの死を持ちかける。「ここまで徹底して強い女性を演じるのは、私の35年のキャリアの中で初めて。復讐を果たすために自分の命までも懸ける心も魂も強い女性です。どうして彼女がそこまでできるのか、再演ではもう一度リセットして考え直したい」
ウィーンミュージカルということもあり、ワルツやクラシック、ロック、聖歌など多彩な要素を取り入れた楽曲も魅力だ。「クレアは人生最高の役です。クレアとして歌う『正義』『世界は私のもの』という曲は毎回、命を懸けて歌っていました。音域も半端ない広さで非常に体力がいるんです」
大金に目がくらみ、アルフレッドの周りの人々の態度が手のひらを返したように変化する様子は拝金主義の現代を彷彿とさせる。「私も宝くじを毎年購入するのですが、当たらないですね(笑)。でも、当たった人の人生は果たして幸せなのか。大金が手に入ったことで何かしら悲しいことが起こったかもしれない。人生はいろんな意味で分からないんです」
また、凄まじい愛憎を抱えたクレアを通して、人を許すこととは何かとも考えさせられる。「クレアはアルフレッドにずっと側にいてほしかったんでしょうね。幕が下りた後、物語の第2章が描かれるのかもしれません。観た後に想像していただけたら」。涼風自身はどうだろうか。「私はわりと人を許すほうです。答えは相手と自分とふたつあり、立場によって違う。相手の立場になるのは、なかなかできないから憎悪が生まれる。だから私は“なかったこと”にして許すようにしています」
最近はイベントなどに登場すると「昔、妖精、今、妖怪の涼風真世です」と自己紹介し、周りを笑わせてくれるが、浮世離れした雰囲気と美しさは昔のままだ。そして、どんな役にも七変化する妖精である。
公演は、11月3日(木・祝)から5日(土)まで東京・シアター1010にてプレビュー公演、11月12日(土)から12月4日(日)まで東京・シアタークリエにて。その後福岡、名古屋を回り、大阪は12月21日(水)から25日(日)まで梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。チケットは発売中。
取材・文:米満ゆうこ
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