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大きな目の少女のイラストで知られる中原淳一。昭和初期、少女雑誌「少女の友」の人気画家として一世を風靡した中原の生き方を描いた舞台『それいゆ』が、1年を待たずに再演する。主演は中山優馬。今回、神戸公演の初日4月19日(水)は中原淳一の命日だ。「舞台上で追悼の表現をしたい」と希望を伝えた中山。「人生初めて」という再演に向けて、意気込みを語った。
「もっとたくさんの方に観てもらうべき作品だと思っていたので、再演はほんとにありがたいですね」と言う中山。「作品は戦時下の話ですが、戦争の描写はありません。ひとりひとりの人間と、戦時下の小さな喜びにもスポットライトを当てているのが特徴です」。初演を観た年配のファンは「懐かしい」と喜び、若い観客も作品のメッセージを受け止めた。「中原先生のファンの方が観に来てくださったのが1番うれしかった」と話す。また、東京では中原淳一の娘さんふたりが観劇、「1幕の途中から父に会えました」と感想を伝えられ、「もう、震えました」。
作品のテーマは“美しく生きる”。「自分が本当に好きなものが好きで、流行に流されない。そして、作品を創り出す上で妥協しない姿勢が“美しく生きる”ことかなと考えています。『それいゆ』を作り上げていく上で、妥協せず真摯に自分の弱さや苦手なところと向き合ってやっていくことが、自分でも美しく生きられる瞬間なのではと。すごく尊敬しますし、見習うべきところがたくさんあります」。そんな中原先生と似ている?「全然違いますね(笑)。流行に左右されるし、長いものに巻かれるし(笑)。だから中原先生でなく、ほかのキャラクターに感情移入するのが最初の入り口でした。作品に対する情熱はもちろん持っていますが、特にこだわりはなく、プライベートでは、ふわっと生きているだけです(笑)」。
初演を観た人、そして初めて観る人へのメッセージは? 「初演をご覧になった方にも、観に来ていただきたいです。前回、いただいたお手紙で1番多かったのが『生き方をもう一度考えようと思いました』とか『生き方を考え直すきっかけになりました』といった内容でした。そう思ってくださった方が今回もう一度観たら、また違うものになるかもしれない。この作品は、その観た時々によって動く感情が違うんじゃないかと思うので。初めての方も、気負いなく観ていただきたいです。今回は小倉と神戸へ。神戸はおしゃれなイメージがありますが、この舞台もすごくおしゃれです。中原先生の作品には、ファッションや絵などキュートなものが多いので、神戸の方に観ていただけるのは、すごくありがたいですし、興味を持っていただけるんじゃないかな。小倉と神戸へ、ファンの方に会いに行きます!」。
公演は、4月6日(木)から11日(火)まで東京・サンシャイン劇場にて上演。その後、4月14日(金)・15日(土)は福岡・北九州芸術劇場 中劇場、4月19日(水)から23日(日)まで兵庫・新神戸オリエンタル劇場にて上演。チケットは発売中。
取材・文:高橋晴代
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