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落語家・三遊亭圓朝の長編人情噺を原作にした芝居噺『名人長二』が5月25日に開幕。本作は、小泉今日子が仲間と共に立ち上げたプロジェクト「明後日プロデュース」の第二弾公演。小泉が舞台初演出を手掛けた『日の本一の大悪党』に続く作品で、今作は俳優として活躍する豊原功補が企画・脚本・演出・主演の4役に挑む。その稽古場に潜入した。
『名人長二』は、「死神」などでも知られる三遊亭圓朝による落語速記(口演を文章化したもの)。フランスの小説家ギ・ド・モーパッサンの短編小説「親殺し」をもとに、近所に住んでいたという指物師(箪笥や箱などを作る職人)長二郎をモデルにして新聞連載として発表した。圓朝自ら高座へあげたことはなく、古今亭志ん生ほか数人しか手を付けていないため、落語ファンでも未体験の人が多い演目だ。出演者は、豊原のほか高橋惠子、山本亨、森岡龍、モロ師岡、梅沢昌代、花王おさむ、菊池均也、神農直隆、岩田和浩、牧野莉佳という重厚感のある顔ぶれ。
稽古開始前の時間。豊原は舞台上に作られた高座でまくら(本題への導入となる小噺)を練習していた。今の状況を落語風に話してみたりと、豊原の落語愛が伝わってくる。
そして始まった稽古。まずは代役を立て、演出家として見ていく豊原。芝居全体はもちろんだが、例えばボケツッコミの間合いのよさ、鼻歌ひとつで伝わる登場人物の性格など、“落語の面白さ”とも言える部分に徹底的にこだわりながら場面をつくりあげていく。そうやってシーンを何度か繰り返した後、豊原が役者として参加。そうすると空気が締まり、シーンがよりクリアに見えたのは印象的だった。また、舞台初出演の森岡のダメ出しにこたえる姿にも真摯さが滲み、本番への期待につながった。
落語ならではの短いテンポで変わっていく場面は、大掛かりなセット転換ではなく、シンプルに小さなワゴンの移動や組み合わせで表現される。冒頭で、噺家が語り描く世界がワゴンの移動によってするりと“演劇”に転換された様子に、落語が始まるまさにその瞬間のグッと引き込まれ目の前に世界が広がる感覚を味わえた。
そのほかにも、小道具が手ぬぐいと扇子で表現されていたり、三味線の生演奏が入るなど、落語の香りを濃厚に漂わせながら、生身の人間が演じる演劇ならではの広がりを感じさせる本作。稽古を見ていると『名人長二』の面白さを知り、落語でも体験したくなった。落語好きは演劇の、演劇好きは落語の魅力を体感できる作品になりそうだ。
公演は6月4日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて。
取材・文:中川實穗
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