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演 劇
2011年、ドイツで公演が行われるや、またたくまに国民的な人気演目となった『チック』が8月、日本で初めて上演される。
家庭にも学校にも居場所のない少年、マイク。ある日、転校生で問題児のチックが盗んだ車でやってくる。ふたりの少年はひと夏の旅に出かけ、行く先々で個性あふれる人々との出会いを経験する……。原作の小説は映画化もされ、『50年後のボクたちは』という邦題で今秋公開予定。この注目作の舞台版で14歳の少年を演じる柄本時生と篠山輝信のふたりに話を聞いた。
「14歳の旅ってだけで、わくわくしない?」という篠山に、「映画だと当たるイメージ」と答える柄本。すかさず篠山が「この舞台も当てたいなー!」と叫ぶ。つい数日前に稽古場で初めて対面したとは思えないかけあいを見せるふたり。柄本が「両親が篠山さん出演の英語番組を見ているので、我が家では篠山さんのことを『先生』って呼んでるんです。いざ先生に会ってみたらやわらかい雰囲気の人でよかった」と初対面の印象を語れば、篠山は「人としての魅力が強くて、目が離せない。僕が演じるマイクが最初に柄本さん演じるチックに抱いた驚きを、いま僕自身が感じています」と話した。
20代後半の柄本と、30代の篠山。ともに14歳を演じることに対して、不安はなさそうだ。「マイクはすごく理屈っぽくて、周りが嘘っぽく見えている少年なんです。でもそういう気持ちは僕も持ってたなってすごく共感できる」という篠山。さらに柄本が「脚本を読んでいてもあんまり14歳って感覚がないよね。学ランを着るわけでもないし」と笑わせる。さらに「“少年の夏の冒険”と言ってしまえばよくある話に思えるけれど、この作品は設定や展開にも意外性があって、ひきこまれます」と作品の魅力を語る柄本。篠山は「外の世界に対する恐怖とか、世界の広さに初めて気づく感覚。それが迫ってくる脚本だよね」と重ねた。
篠山演じるマイクはこの作品のストーリーテラーであり、膨大なセリフをとうとうと語らなければならない。「僕自身にとってはマイクを演じること自体が大冒険」という篠山を「マイクじゃなくてよかった!」と茶化す柄本。「ストーリーテラーがこんなにも細やかに語る演劇作品って、なかなかないですよ。その語りのなかで、僕らほかのキャストがどんなふうに舞台のうえに立つかを注目してほしい」と見どころを語った。
10代の旅の思い出を問うと柄本が「高校のときに友達3人と、自転車で東京から沖縄をめざしました。でも僕ひとりだけ本厚木で帰った」と告白 。篠山も同様に自転車で熱海をめざしたものの、途中で電車に乗ったという。「この作品も、そんな思い出をもつ元14歳のみなさんに観ていただきたい」と篠山が言うと、柄本は「いま思春期の人にも観てほしいな。作品に刺激されて、旅に出ちゃうかもしれないけど」と笑った。異なる魅力をもつふたりの俳優が、息ぴったりに夏の冒険に挑む。
公演は8月13日(日)から27日(日)まで東京・シアタートラムにて。
取材・文:釣木文恵
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