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吉田栄作、朝海ひかる、小倉久寛出演、マキノノゾミ脚本・演出の『ローマの休日』が5年ぶりに3度目の上演。朝海をアン王女役に迎えてのバージョンは初演以来7年ぶり。オードリー・ヘップバーン主演の不朽の名画を、登場する俳優を3人に絞ったストレートプレイに。主役の新聞記者ジョー・ブラッドレーにダルトン・トランボ(映画『ローマの休日』の脚本家。“赤狩り”でハリウッドを追われた)を投影させるなど大胆なアレンジを効かせつつ、映画に負けずとも劣らない切ない余韻を残す“日本産”の名作だ。プログラム用ビジュアル撮影の様子をレポートする。
見学したのは、ともに映画から抜け出たような絵になるふたつの場面。ジョー(吉田)とアン王女(朝海)の「真実の口」でのカットと、ふたりにジョーの友人でカメラマンのアーヴィング(小倉)が加わったカフェでの3ショットだ。劇中で使用される音楽がBGMとして流れ雰囲気が整ったところで、本物そっくりの「真実の口」のセットの前に立つ吉田と朝海。長身小顔のこのカップルは、うっとりするほど絵になる。ジョーが“口”に手を入れ、それを見たアン王女が慌てて引っ張り出そうとするが、口から抜くとジョーの手首はなく(もちろんジョーの悪戯)、アン王女が手で顔を覆って嘆き悲しむ……という一連の動きを、ふたりがスローモーションで演じる。映画の名場面のひとつで、舞台版にも当然登場するおなじみの動きだけにふたりとも手慣れたもの。撮ったばかりの写真を確認しながら朝海は「私も現地でこうやって口に手を入れて写真を撮ったの」とニッコリ。対して吉田は「たまに朝海さんをオードリーと錯覚するんですよ」。ファッション、髪型、そして雰囲気を含めたこの“再現度”の高さでは無理もない。スタジオ内で場所を移動し、小倉を加えた3人でカフェテーブルを囲む。和気藹々とした雰囲気で、スタンバイ中は“エアコンの快適な温度”をテーマに会話が盛り上がる。この撮影では小倉扮するアーヴィングが持つライターが活躍。『ローマの休日』ファンにはおなじみの小道具だが、本番での働きもお楽しみに。
「3回やらせてもらう役というのは僕のキャリアの中でも特別。『カッケーな!』という理想も含めて、自分の中でとてもしっくりきている役です」(吉田)「大好きな作品だったからこそ触(さわ)れないものと思っていたんですが、7年経ったからこそ見えるものがあるのではと。リベンジではないですが、前回やりきれなかったところに挑めるチャンスをいただいたと思っています」(朝海)「マキノさんはロマンチストなんですね。今回はジョーとアーヴィングの男の友情の部分をより深く演出してくれている感じがします」(小倉)。撮影終了後、キャストは最新版への思いをこう話した。
モノクロ映画さながら、モノトーンの劇空間で繰り広げられる、大人にこそ沁みるホロ苦ドラマ。映画とはまた異なる味わいを堪能してほしい。7月26日(水)・27日(木)大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、7月30日(日)から8月6日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターで上演。チケット発売中。
取材・文:武田吏都
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