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この秋、革新的な舞台が登場する。『この熱き私の激情〜 それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』と題されたそれは、センセーショナルな作家デビューを飾り、36歳の若さで自らの人生を閉じた小説家、ネリー・アルカンの小説とその人生をコラージュするように描き出したものだ。演じるのは6人の女優とひとりの女性ダンサー。その中から、松雪泰子が作品の魅力と意気込みを語ってくれた。
2013年にモントリオールで初演され、今年から来年にかけてカナダとヨーロッパの様々な都市でも上演が予定されているこの作品。翻案・演出を手がけているのは、女優・作家・演出家として世界で活躍しているマリー・ブラッサールだ。今回の日本での創作も彼女の手によるものとなるが、初演映像を目にし、すでにマリーと対面した松雪は、作品の印象をこう語る。「ひとりの人物の多面性を何人もの俳優で、それも、ひとりひとりが箱に閉じ込められた環境で独白で表現していくんです。まずその舞台美術の美しさに圧倒されました。観ていて不思議な感覚になりました、マリーさんが味わったことのない演技体験になるわよとおっしゃっていたので、楽しみですね」
松雪が演じるのは、“死の魅力について”語る「影の部屋の女」だ。ほか全7部屋の女たちが、作家ネリー・アルカンが小説にぶつけた、女であることへの戸惑い、怒り、コンプレックス、生きていくことの辛さ、悲しみ、無力感と孤独を表現することになる。しかも、自身がコールガールだった時代のことを語った作品もあり、その精神性は複雑かつ激しい。それらすべてを引き受けて死に向かう部分を担うことになる松雪。「最終地点として、どのような時間を経て、どういう精神状態になっているのか、今は想像がつきません。でも、難易度が高いからこそ楽しめるかなと思っていますし。俳優って、そういう人間の深層心理や感情に向き合わざるを得ない仕事なので。苦しいでしょうけど逃げ出さずに、自分のことも含めて改めて見つめ直せたらとは思います。怖いですけどね(笑)」
ネリー・アルカンについては、9月のデビュー作『Putain』の出版、10月公開の半生を描いた映画『ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で』でも感じることができる。舞台はその後に上演される。「ほかの共演者の声しか聞こえない中で、俳優同士が互いのバイブレーションをいかにつなげられるか。そしてそのバイブレーションをぜひ客席と共有できたらと思います」と松雪。まさにひとりの女性を体感し、ともに生きる舞台となるだろう。
舞台『この熱き私の激情〜それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』は11月4日(土)より東京・天王洲 銀河劇場にて上演。その後、広島、愛知を周る。東京、広島公演のチケットは発売中。
取材・文:大内弓子
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