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話題のドラマや映画を数多く手がけ、連続テレビ小説「ひよっこ」の脚本家としても注目を集める岡田惠和と、映画「神様のカルテ」シリーズなどを世に送り出してきた監督の深川栄洋が演出を手がけた舞台『ミッドナイト・イン・バリ〜史上最悪の結婚前夜〜』が、日比谷のシアタークリエで9月15日、初日を迎えた。
ワンシチュエーションの舞台に登場人物はたったの4人だけ。栗山千明、溝端淳平、浅田美代子、中村雅俊という個性豊かな俳優たちによって繰り出されるハイスピードなコメディータッチの会話劇に、三谷幸喜作品などで知られる荻野清子のピアノはじめ、ミュージシャンの生演奏がアクセントを加えていく。
物語の舞台は南国バリのホテルのコテージ。結婚式を翌日に控えマリッジブルー気味の新婦・幸子(栗山千明)の心情を表すように、その晩の天気は荒れ模様だ。穏やかだが決断力のない新郎・治(溝端淳平)の態度に、とうとう幸子のイライラはマックスに! そこに幸子を凌ぐ毒舌の持ち主の母・敏子(浅田美代子)も加わり治はなすすべもない。ところが遅れて到着した能天気な治の父・久男(中村雅俊)の登場で急に敏子の態度がおかしくなる。知るはずのなかったこと、知りたくなかったこと。4人それぞれが抱える秘密や真意がやがて明らかになっていくのだが……。
矢継ぎ早に繰り出されるマシンガントークに観客は振り回され、思いもかけない打ち明け話にぐっと心を掴まれる。その展開は実に鮮やかだ。俳優それぞれが自身の持ち味を封印して新鮮な役どころを演じているのも楽しめるし、今そこでやるか!? とツッコミたくなるタイミングで入る歌やダンスには、思わず笑ってしまう。時間経過とともに各キャラが愛おしくなってくるところに、脚本と演出の巧みさを感じさせられた。
岡田は2015年に初のオリジナル戯曲『スタンド・バイ・ユー〜家庭内再婚〜』を上演しており、舞台作品を手がけるのは今回が2度目。「ひよっこ」にも、あたかも舞台かと見紛うような、少人数の会話だけで進んでいったり、本流から脱線した会話の面白さがジワジワと胸に沁みてくる場面があったりする。岡田脚本の魅力にハマった層ならば、それを生で味わう貴重な機会を見逃す手はないだろう。丁々発止の会話でテンポよく駆け抜ける1時間40分。渇いた心を潤してくれる軽妙洒脱な大人のエンターテイメントを、肩肘張らずに楽しみたい!
東京公演は9月29日(金)まで。
取材・文:高橋涼子(演劇ライター)
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