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2016年、石丸幹二主演、ヒロインに安蘭けいを迎えガブリエル・バリー潤色・演出の新バージョンとして世界初演されたミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』が今秋、早くも再演される。フランク・ワイルドホーン作曲による愛と勇気の冒険活劇は1997年にブロードウェイで初演。2008年には宝塚歌劇団星組トップスター安蘭けい主演、小池修一郎演出で宝塚版が初演、今年も星組で再々演されるなど宝塚歌劇の人気作としても定着している。主演の石丸幹二に再演への思いを聞いた。
1789年、フランス革命勃発。元貴族らが次々と処刑される恐怖政治が続くなか、イギリス貴族のパーシー(石丸幹二)はフランスの有名女優だった妻マルグリット(安蘭けい)に内緒で仲間と「ピンパーネル団」を結成、無実の人々を救うため秘密裏に活躍する。フランス政府特命全権大使ショーブラン(石井一孝)は“元同志”で恋人でもあったマルグリットにピンパーネル団の素性を探って欲しいと囁くのだが……。マルグリット唯一の肉親で最愛の弟アルマン(松下洸平)を巻き込みながら、疑心と愛憎渦巻く物語がスリリングに展開する。
初演で石丸は、パーシー役について安蘭にも意見を求めたという。「安蘭さんのパーシーはさほどマルグリットには関心を寄せていなかったそうです。逆に僕はいつも彼女を見ている。その解釈の違いは、今回の新演出版が大人の恋の駆け引きに物語の重点を置いているから。観客にはどちらの解釈もありだと受け止めて貰えたと思います」。出会って6週間というふたりの結婚式の場面では、パーシーがマルグリットに関するある秘密を耳にする。「それが事実かも問いただせぬままパーシーは彼女に冷たくあたる。マルグリットとの気持ちにズレが生じたまま物語が進んでいくので、観客からすると『早く聞けばいいんじゃないか?』となると思います(笑)。その焦れったさ。愛しているけど疑ってしまう人間の性(さが)や苦しさをそれぞれのキャラクターが磨き上げることで、作品の面白さがより際立ってくるんじゃないかな」
再演では正義の味方、ピンパーネル団のキャストが一新。先陣を切るパーシーは変装して敵方ショーブランの陣地に潜入するなど、石丸の七変化も話題だ。「男性の役にしては珍しく7、8着着替えます。裏では複数のスタッフがワッと集まって一斉に衣装を脱がして、かつらから髪の装飾品まで一気に着せ替えてくれる。面白い体験でした(笑)。楽曲は役の個性が際立ち、大胆なキーチェンジがワイルドホーンの手法のひとつ。一曲の中で崖から急降下して滝壺に飛び込むような落差があり、聴き応えがあると思います。ピンパーネル団の活躍と最後には夫婦が心を通わせる、気分爽快な点がこの作品が愛される理由です。新キャストも加わり、必ずご期待に添える作品にしたいと思います。ぜひ劇場に足をお運びください」
大阪公演は11月13日(月)から15日(水)まで梅田芸術劇場メインホールにて、東京公演は11月20日(月)から12月5日(火)までTBS赤坂ACTシアターにて上演。チケット発売中。
取材・文:石橋法子
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