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20世紀が生んだ演劇界の革命家ベルトルト・ブレヒトと作曲家クルト・ヴァイルの代表作『三文オペラ』が、谷賢一演出で、装いも新たに登場する。
泥棒マクヒィスが、乞食集団の親分と警視総監を向こうに回して大騒動を巻き起こす本作。主人公マクヒィスを演じるSOPHIA・MICHAELのヴォーカルで俳優の松岡充は「裏で通じ合い、弱みを握る人々がいるといった『三文オペラ』の社会構造は今と同じ。そんな中、民衆が一致団結して世の中を動かすんだ、というメッセージも込められている。マクヒィスが内に秘める反骨精神や、人を強く愛する気持ちの根源となるパワーを追究したい」と語る。
マクヒィスの妻ポリー役には第13回全日本国民的美少女コンテストのグランプリ吉本実憂。ポリーの恋敵ルーシー役にはAKB48の峯岸みなみ。オーディションではふたりとも、演出の谷を相手に、ポリーとルーシーのバトルシーンを演じたという。「最初はよくわからずに演じていましたが、段々、ポリー同様にルーシーにイライラしてきて(笑)。最後は心から『楽しかったです』と答えることができました」と吉本は笑顔で語り、「スイッチが入るまでに時間がかかりましたが、気持ちよくて、朝からアドレナリンが出ました(笑)。『女の世界にいるのでもっと出せます』と言い切ってしまったので、しっかり演じたいです」と峯岸は表情を引き締める。
それにしてもマクヒィスのモテっぷりは見事。こうした男性との恋愛について、峯岸は「本当は嫌だけれど、すごく好きな相手なら嫌いにはなれないかもしれないです。誰からも興味を持たれる男性って魅力的ですから。AKBは恋愛禁止なので、舞台上では恋愛を楽しみたいです」
吉本は「浮気をしたら誰かが傷つくわけだから、自分の気持ちを押し殺して相手から離れる人のほうが、個人的には好きです。でも今回は、マクヒィスのことが好きなポリーの気持ちを稽古場で育てていきたいです」。松岡の「男性も女性も、最期に寄り添ってくれる相手を求めているのは同じ。関係性はこの作品の中では妻・愛人・もうひとりの愛人、ということになるけれど、時が違えば逆だったり別の相手だったりするかもしれない。そうしたことも、このお芝居の構図の中に表現されています」との意見には、ふたりとも大きくうなずいた。
吉本も峯岸も、今作が初舞台。「何時間も本番が続くのは緊張しますが、画面の中で表現するドラマや映画と違って、端っこにいてもその役として生きたらそれが表現になるのが楽しみです」と言う吉本、「誰かの出方で空気が変わるのが舞台なので、自分も受け手だけでなく攻め手に回れるくらい、稽古に食らいついていきたいです」と言う峯岸を、松岡が「稽古期間をどれだけ遊ぶか。遊園地気分で楽しんだ者勝ちです!」と励まし、「今回は音楽監督の志磨遼平さんによってロック色が強くなるのは楽しみだし、設定も近未来の日本になるということで谷さんによる新しい『三文オペラ』が生まれると思います」と意気込んだ。
1月23日(火)よりKAAT 神奈川芸術劇場 ホールにて。
取材・文:高橋彩子
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