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七之助が勘三郎と三津五郎の魂に誓う、八月納涼歌舞伎
2018年07月25日 16時20分 [歌舞伎・古典芸能]
中村七之助
中村七之助

歌舞伎座の八月納涼歌舞伎が、今年も開幕する。第一部で『心中月夜星野屋』、第二部で『東海道中膝栗毛』、第三部で『盟三五大切』に出演する中村七之助の取材会が開かれた。

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「『八月納涼歌舞伎』はうちの父(十八世中村勘三郎)と(十世坂東)三津五郎のおじ様、それに(中村)福助、(中村)芝翫のおじが舞台上でも舞台裏でも闘って続けてきたもの。特に、父と三津五郎のおじ様の魂に顔向けができない1か月にはしたくない」と七之助は言う。その思いが、『心中月夜星野屋』上演に深く関わっている。

「父と三津五郎のおじ様の納涼歌舞伎は、第一部からお客様でいっぱいのイメージ。もう一度そうなるために、去年、兄(中村勘九郎)と僕で第一部の演目を考え、僕は(坂東)玉三郎さんの演出で(市川)中車さんと『刺青奇偶』をやらせていただいたところ、お客様がどんと入ってくださって。今年もこの流れを消さないように、そして、中車さんとまたやりたかったので、2年前に上演した(笑福亭鶴瓶の落語が原作の)『廓噺山名屋浦里』で脚本を手がけてくれた小佐田(定雄)さんに相談し、落語『星野屋』を歌舞伎にすることになりました」

落語が原作というと、これまで八月納涼歌舞伎では怪談物を上演することが多かったが、『山名屋浦里』に続いて、よりコメディ色の強い作品が登場する。

「第一部にふさわしく、軽い気持ちで楽しく観られるものを選びました。ひとりで語る落語と、役者が演じる歌舞伎とでは、やはり違います。落語と同じオチが歌舞伎でうまく幕になるとは限らないし、歌舞伎は視覚的に楽しませる分、落語より狭まる部分もあるかもしれない。巧い噺家だと、座布団に座って長屋の話をするだけで長屋のにおいまでして来るのに対して、歌舞伎は視覚的に分かってしまう怖さがある一方、動きや掛け合いで楽しませることもできます。そこをどう魅せるか、これから小佐田さんとの相談や稽古で詰めていきます」

『東海道中膝栗毛』は、十返舎一九の原作を奔放に賑やかに発展させた作品。一昨年、昨年と、形を変えながら上演され、七之助は昨年から出演している。「まだ何も聞いていないのですが、去年は芝居に絡む役ではなかったので、今回はもっと作品に絡みたいと言いました。俳優祭的なところもありますが、お客様が喜ばれるし、歌舞伎の幅の広さがわかる演目だと思います」

『盟三五大切』では、芸者の小万に初役で挑む。「僕はコクーン歌舞伎で1番好きなのがこの『盟三五大切』。憧れの(中村)福助のおじが演じていた小万をやれるのは嬉しいですね。小万は、ただただ好きな三五郎のために(薩摩)源五兵衛を騙してしまう女性なので、あまり悪い人には見せたくない。色気たっぷりに演じたいですね。父と芝翫のおじがWキャストで源五兵衛を演じた時、印象が全然違ったんです。(源五兵衛役の松本)幸四郎さんと私と(三五郎役の中村)獅童さんの3人ならではの舞台にしたいですね」

公演は8月9日(木)から27日(月)まで、東京・歌舞伎座にて。チケットは発売中。

取材・文:高橋彩子

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