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「履歴書に載っていないことを話してほしい。君たち自身のことを」。演出家の問いかけを合図に、男女17人による最終オーディションの幕が上がる――。年齢、容姿、人種など自己と向き合い、成功を夢見るダンサーたちの光と影を真正面から描いた1975年初演、マイケル・べネット原案・演出・振付のミュージカル『コーラスライン』。トニー賞9部門に輝き映画化もされ、約15年もの大ロングランで当時の最長記録を更新した不朽の名作だ。この夏、7年ぶり3回目のリバイバル版来日公演が決定した。演出・振付・再構成は43年前、コニー役を演じたオリジナルキャストのひとり、バーヨーク・リー。「初演の情熱、演出、振付を次の世代につなぐのが私の使命」と、鬼才マイケル・べネットからたすきを託された、歴史の生き証人でもある。
「ブロードウェイミュージカル『コーラスライン』来日公演2018」チケット情報
その成功は初演の幕が上がるまで、誰にも予測できないことだった。「だって、ダンサーたちはみんな失業中だったのよ」とバーヨーク・リー。マイケル・べネットやダンサーが集まって話したのが発端。でもその先は分からない。「そのとき彼は他にふたつの作品を手掛けていたの。でも、どちらもうまくいってなかった。私もその作品に参加していたから、きっと『コーラスライン』もあまりうまくいかないだろうな、と思っていたの(笑)」。
ところが、「アンビリーバブル!」な結果が待っていた。しかも「私たちそれぞれの物語が観客にインパクトを与えたの」と、興奮気味に続ける。「ひとりのダンサーが語ったわ。自分は神様から踊るという才能を与えられたのだから、才能を活かして感謝をもって愛を表現しなければいけないのだと。劇中に『愛のためにしたことは』という曲があるけど、伝えたいのは、いま自分がやっていることを好きになって、愛をもって一生懸命取り組んでほしいということ。情熱を込めて生きていこうという作品のメッセージを感じてもらえたら」。
初演ではマイケル・べネットの右腕として天才のひらめきを傍らで書き留め、ダンスキャプテンとしても活躍した。そこで得た知恵と技術をいま、惜しみなく後輩たちに伝える。「若い出演者たちは、ツアー先で寝起きを共にすることで家族のように協力し合い、社会人としての言動を学んでいく。作品に関わることで役者としての基礎を築き、豊かな人間性も磨ける」。本作は単なるショーを超えた作品だと力を込める。「日本の皆さんは世代を越えてこの作品を愛してくれていることを知っているわ。物語を熟知している方が多いから、よりベストな内容でお届けしなければいけない、とみんなにも伝えているのよ」。
公演は、8月15日(水)から26日(日)まで東京・東急シアターオーブ、8月29日(水)横浜・神奈川県民ホール大ホール、8月30日(木)静岡・アクトシティ浜松 大ホール、8月31日(金)から9月2日(日)まで大阪・オリックス劇場、9月5日(水)から9日(日)まで東京国際フォーラムホールCにて上演。チケット発売中。
取材・文:石橋法子
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