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2015年に『フランス芸術文化勲章』シュヴァリエを受勲し、フランスを中心に海外で精力的に活動するダンサー・伊藤郁女と、ダンサー、俳優の枠を越えて活動する森山未來による初クリエーションKAAT DANCE SERIES 2018『Is it worth to save us?』が10月に横浜・KAAT 神奈川芸術劇場にて世界初演される。演出も手掛ける伊藤に話を聞いた。
伊藤と森山の共演は初めてのこと。「KAATでこの企画を実施することになり、誰と一緒にやろうかという話になったとき、“未來くんと共演したい”と言いました。私は昔から“お人形さんみたいに踊りますね”と言われたりするのですが、未來くんも舞台では何を考えているかわからないような、お人形みたいな感じのところがあると思うんです。それに、いろんな想像ができる顔だちや身体を持っているとも思います。あとは、私が普段からあまり踊りや演劇の境のないところでやっているので、そういう人がいないかな、と頭の中を探ったときに未來くんがいました。踊れるだけでなく歌も歌えるし、台詞も言える人だから、そういう意味でもすごくいい。良いダンサーはいっぱいいるんですけど、光のあるダンサーはあまりいないですからね」。森山個人の印象は「繊細。いろんなことを考えて生きているし、いろんなことに疑問を持ってやっている人だと思います」
作品のもとになるのは三島由紀夫のSF小説『美しい星』。自分たちを宇宙人だと思った家族が地球を救おうとする物語だ。だが、本作ではその物語を上演するのではない。「『Is it worth to save us?』は、“社会からはずされていきそうな自分の感情”を元につくっています。みんな、人と違うことをダメだとか怖いと思い、仲間外れにされないように生きていますよね。『美しい星』の中では、それを“宇宙人だから”と思うことで解消しているところがありますが、今回はポジティブに考えたらどうかという提案をする作品です」
昨年の3月から始まった稽古は、今年の2月に日本でも行い、今後はフランスなど世界各地で断続的に続けていくという。「最終的なところは私がやっていますが、人とつくるのが好きですし、なにかを“しなさい”と言うのが嫌なんですよ。未來くんはそこに驚いてましたね。“へー、けっこう聞くんだ、人の話”とか言われて(笑)」。「まだ今は、話をしている段階で何も固まっていないです」と話すが、最終形は「笑ってほしいな、というのはあります。でもそれはハハハじゃなくて微笑んでしまうような感じ。“メッセージ”にはしたくないのですが、ふたりの人間的なものを出したいということがベースにあります」
公演は10月31日(水)から11月4日(日)までKAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて上演。チケットの一般発売は9月1日(土)より。なお、本日8月31日午後11時59分までチケットぴあにて先着先行受付中。
取材・文:中川實穂
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