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森新太郎演出×中山優馬主演の舞台『The Silver Tassie 銀杯』の制作発表会見が9月26日に開催。森、中山をはじめ、矢田悠祐、横田栄司、浦浜アリサ、安田聖愛、三田和代が出席した。
アイルランドの劇作家ショーン・オケイシーによる“反戦悲喜劇”と言われる本作。中山演じる有望なフットボール選手だったハリー・ヒーガンの人生が、戦地へ赴いたことで一変していくさまを描く。
1928年の執筆当時、市民を批判的に描いた内容から上演を拒否されたという本作。森は戯曲を読んで「パワーに圧倒された」と明かす。特にハリーが戦地から戻って感じる疎外感や孤独に言及し「人を叩きのめし排除、支配していくという野蛮な状況は、実は戦場と地続きにある」と戦争と日常が別次元の存在ではないと説き「“戦争反対”と誇らしげに言ったところで、“自分を見てみろよ”と言われているような挑発的な作品」といま、本作を上演する意義を訴えた。
中山の起用について森は、中山が殺人犯を演じたドラマ『北斗 -ある殺人者の回心-』を見て「ピュアさとすさんだ心があって、ハリーと同じだと思った」と説明。中山は「戦争にぶつかって心がネガティブな方に行くけど、そこでもシャレの利いた皮肉を言ったり、ネガティブな時もポジティブな時も口が達者なのが魅力」と語る。精神的な強さが求められ、さらにウクレレの名手という設定で、こちらも練習中だが「(心が)折れても立ち上がっていこうと思います! (新しいことに)挑戦できることがありがたい」と意気込みを語った。
矢田はハリーの戦友で、やがて恋敵にもなるバーニーを演じるが、歌唱シーンについて森から「きれいな歌声じゃなく、喉から血が出るような芝居を味わわせたい」と宣言されると「身を委ねます。メチャクチャにしていただきたい」と覚悟を口にした。
一方、横田に関して森は「横田さんは蜷川(幸雄)さんと文学座のものだと思いこんでた(笑)」と冗談めかしつつ今回、意を決してのオファーだったと告白。特に「演出家の腕が問われる」(森)という戦地のシーンで「横田さんを頼りにしたい」とも。横田は、ここまでの5日間の稽古で感じた森の脚本への深い洞察と解釈への驚嘆を口にし「言葉ひとつひとつに重みと説得力がある」と称賛。「森さんも想定していないビックリするようなことを発見したい」とうなずく。
女優陣が演じる女性キャラクターたちも三者三様。三田は自らが演じるハリーの母親役を「普通の人」と称し、だからこそ「本当に難しい!」と楽しそうに語る。モデル出身の浦浜は「セリフで感情を表す難しさに直面してます」と苦笑し、自身の起用について「森さんのギャンブラー精神にビックリしてます」と笑う。安田はハリーの恋人のジェシーを演じるが「ひと言で表すとひどい女(苦笑)。気持ちいいくらいひどい女を演じたい」と言葉に力を込めた。
『The Silver Tassie 銀杯』は11月9日より世田谷パブリックシアターにて開幕。
取材・文・撮影:黒豆直樹
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