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来年創立40周年を迎える劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)の『テクニカルハイスクールウオーズ 鉄クズは夜作られる』が、10月28日(日)まで東京サンシャイン劇場にて公演中。SETらしく、わかりやすくて誰もが楽しめるサービス精神旺盛なミュージカル・アクション・コメディー。歌、ダンス、コント、アクロバットなど様々な要素を詰め込んだ盛りだくさんの2時間だ。
初日前の会見で演出・出演の三宅裕司は「わかりやすい青春モノだけど、隙があれば笑いをどんどん入れていく」と貪欲な姿勢を見せた。舞台は偏差値36の定時制工業高校。ヤンキーたちは親や校長や警官やエリート校にバカにされ、ケンカ上等の日々を送っていた。しかしワケあり熱血教師が赴任してきたことで、彼らの心に火がついていく。
笑い溢れるSETの舞台だが、「日本の下町のものづくり」という社会的なテーマも1本通っている。製造業は日本の高度経済成長を支えてきた産業だ。しかし労働人口が減り、賃金が下がり、職人の技術が失われつつある。そんな日本製造業の現状に、コメディという武器で向き合っていく。登場人物の名前は「日立」「東芝」など聞いたことのある企業名が並び、現実の各企業の関係と照らし合わせると思わずニヤついてしまう。また、いたるところに「死語」となった昭和のギャグが散りばめられ、それにピンとこないヤンキーたちとのチグハグさも笑える。全編を通して、昭和の息遣いと現代の空気が混ざり合っていく。
舞台に立つのは20〜67歳の劇団員38名。三宅は「劇団員全員の見せ場があって、ひとりひとりが力を発揮して盛り上がる。劇団力を問われる公演だと思います!」と宣言。その通り、創立メンバーから若手までそれぞれの持ち味が披露される。ダンスだけでもロボットダンスにヒップホップ、ミュージカルに群舞など多彩。またコント、ギャグ、アドリブ、時事ネタなど、隙あらば笑いの球を投げてくる。次にどんなパフォーマンスが繰り広げられるのか……目を離す暇がない。
客席にも、幅広い世代の観客がいる。長年のファンはSETのお家芸のような掛け合いや看板俳優・小倉久寛らの登場に沸き、SET初観劇らしき観客は手を叩いて爆笑。舞台上でヤンキーと周囲の大人たちが心を通わせていくように、客席の笑いもひとつになっていくのは心地のいい体験だ。40年近く続けてきたからこそ、劇団員も観客も世代を超えるエンターテイメントを実現させている。
チケットは発売中。
取材・文:河野桃子
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