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声で惹きつける「声優」。彼らが舞台に立った時、声の技術が物語を濃密にする。11月29日(木)から12月2日(日)まで、東京・三越劇場で上演される『パパ、アイ・ラブ・ユー!』の出演者は、山寺宏一をはじめ声優、俳優、タレントなど幅広く活動する面々だ。その稽古場を訪ねた。
ある病院。医者デーヴィッド(山寺)は今にも大事な講演が始まるので緊張気味。お調子者の医師コノリー(関智一)の冗談にイライラしきり。そこに昔の愛人が現れ「ふたりには子どもがいて、その子が今からここに来る」と言うのでデーヴィッドは大慌て!誤魔化すためにとっさについた嘘が、病院中を巻き込む一大事になってしまう……。
本作は2015年にも山寺、水島裕、演出家の野坂実のユニット「ラフィングライブ」で上演しており、今回は同ユニットによる再演。ユニット名に込められた“笑ってリラックスして元気になれる”舞台だ。
稽古場にはすでに本番さながらの美術。今日は、デーヴィッドが嘘とアクシデントを塗り重ねてさらなるトラブルの上塗りをするシーン。警察官(大塚明夫)、同僚の医者(水島)らが登場し、縦横無尽に入り乱れるセリフの応酬にみんなてんやわんやだ。
しかし、早口でもきちんと聞き取れるのは、さすが言葉を鍛えた声優だ。演出の野坂が「その言葉を立てて」と指示すると、敏感に反応し、すぐにワンフレーズだけ強調する。会話はテンポ良く、余分な間を作らない。声の表現だけでも、怒り、焦り、楽しみ、驚きなど多彩だ。アップテンポなシチュエーションコメディに、声優の「声で物語を表現する」という強みが活きる。さらにキレのいい動きで左右や舞台奥まで目まぐるしく動き回るので、勢いに巻き込まれているうちに何度も吹き出してしまう。声優の技術に裏打ちされた舞台は、こんなにもダイナミックなのか!
演出の野坂が演技を止めると、みんなほっとした笑顔に。緊張の表情はほころび、共演者やスタッフと冗談を言ったりと、リラックスした心地良い空気が流れる。長年仕事を共にしてきた仲間たちとの、演じる興奮と楽しみを感じる現場だ。
とはいえ休む暇はない。シーンごとに丁寧に手順を整理する。大塚は「気持ちで演じると流れがグズグズになってしまう。段取りを決めておかないとね」と、各自で立つタイミング、回る方向、誰に向かってどの言葉を言うのかを明確に確認。そしてすぐに実践。“コメディはとくに難しい”との通説をものともせず、確かな力量で笑いをうむ。
チケットは発売中。
取材・文:河野桃子
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