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ユーモラスに切実に。ノゾエ征爾×東啓介×三島由紀夫『命売ります』
2018年11月26日 10時00分 [演劇]
『命売ります』 稽古場の模様 撮影:森恒河
『命売ります』 稽古場の模様 撮影:森恒河

2018 PARCO PRODUCE “三島×MISHIMA”シリーズの第二弾『命売ります』が11月24日に開幕。原作は三島由紀夫が1968年に「週刊プレイボーイ」に連載したエンターテイメント小説で、ある日ふと「死のう」と思い立った27歳の羽仁男(はにお)が新聞に「命売ります」という広告を出す。すると訳ありげな人間たちが次々現れ――という物語。脚本・演出はノゾエ征爾。その通し稽古に潜入した。

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東啓介が演じる主人公・羽仁男と関わる人々は、上村海成が演じる吸血鬼の母親のために羽仁男の命を買う高校生・薫や、馬渕英里何が演じる間貸しする女・玲子、莉奈が演じる謎の老人の妻・るり子、樹里咲穂が演じる吸血鬼の女、家納ジュンコが演じる図書の貸出係の女など、役柄を並べるだけでも面白そうな本作。さらに、最初に羽仁男に接触する謎の老人を温水洋一、るり子を愛人にしている男を不破万作が演じるほか、市川しんぺー、平田敦子、川上友里、町田水城、ノゾエがさまざまな役柄で登場する。

組まれたセットは上下2段で等間隔に並んだ扉と、同じく床に等間隔に並んだ長方形の台で、スーパーマーケットの売り場のようにも見える。オープニングではそこにキャストたちが等間隔に並び、オリジナルの曲を全員で歌った。

「妻といい仲になって、嫉妬した愛人から殺されてほしい」など、依頼内容はどれも個性的。羽仁男は毎回命を懸けて遂行するもなぜか生き残ってしまうため、オムニバスのように次々と出来事が描かれていく。命を買いに来る人たちはユーモラスでありながら切実で、依頼のひとつひとつに人間の欲望や業がカラフルに詰まっている。そして個性的なキャストたちの芝居により、そこに人間の持つおかしさや愛おしさ、そして残酷さが感じられた。そのなかで東は、死が迫り妙に生き生きしたり、死にたいのに死ねず苛立ったり、出会いと別れを繰り返すうちにある変化が訪れたりと、あらゆる依頼を渡り歩く姿が危うくセクシーだ。

エンタテインメント小説と呼ばれる原作とノゾエによる演出の掛け算で、物語はポップに進んでいく。だからこそ浮き上がってくる三島由紀夫の死生観は、芝居に笑わされながらも心にグイグイと迫ってくるため、観終わった後には何とも言い難い気持ちになった。ぜひ劇場で味わってほしい。

公演は12月9日(日)まで東京・サンシャイン劇場、12月22日(土)に大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。

取材・文:中川 實穗

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