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三島由紀夫の小説を原作にした2018 PARCO PRODUCE 三島×MISHIMA 『命売ります』が東京・サンシャイン劇場にて12月9日(日)まで上演中だ。
開幕を迎え脚本・演出を手掛けるノゾエ征爾は「三島由紀夫の驚きのパンクな小説。を演劇化したらこんな風になったと、別に奇をてらったようなことは何もしていませんが、ともかく面白な原作に面白な役者が乗っかったらこんなんになりました」、主演の東啓介は「三島由紀夫でありながらノゾエさんの脚本・演出で、とてもエンターテイメントな作品に仕上がっていると思います。山田羽仁男という人物が愛されるよう、僕はひたむきに演じていきます。キャスト、スタッフ全員で作り上げてきましたので、是非劇場でご覧ください!」、上村海成は「『半分、青い。』等、最近やらせていただいた役とかなり違うタイプの役柄で、しかも初のストレートプレイなのでとてもドキドキしていますが精一杯演じます!お客様に観ていただくのがとても楽しみです!」とそれぞれコメントを寄せた。
ある日ふと「死のう」と思い立ち「命売ります」という新聞広告を出した羽仁男(はにお)のもとに、訳ありの人々が次々と訪れる物語。原作が「週刊プレイボーイ」に連載されたエンターテインメント小説ということもあってか、羽仁男を取り巻く人物たちはキャラが濃く、それを上村や馬渕英里何、莉奈、樹里咲穂、家納ジュンコ、市川しんぺー、平田敦子、川上友里、町田水城、ノゾエ、不破万作、温水洋一という個性的なキャスト達がより一層ポップに立ち上げる。そんな彼らに命を買われる羽仁男は、若く、“いい生活”をしている、いわゆるエリート。演じる東の抜群のルックスも相まって、登場人物がずらりと並ぶオープニングでも一人浮き上がって見え、そんな彼こそが自分の命を売っているのだという異常さが引き立つ。
何度命を買われても生き残ってしまう羽仁男。生きたくないから命を売っているのに、その出会いや体験が彼を変えていくのを観ていると、なんとも言えない気持ちになる。オムニバスのように進んでいく物語は一つひとつが一癖ある展開なのだが、劇中でふと歌われる歌の歌詞がそれとは真逆のストレートさで、目の前の出来事の別の面を見せる。ポップで笑えて楽しい舞台だが、命とは、生きることとはなんだろうかということを考えずにはいられない、ちょっと不思議な感覚が味わえる作品だ。
公演は、12月9日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて、12月22日(土)に大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。
取材・文:中川 實穗
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