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女優の紺野美沙子が主宰する朗読座、2019新春公演『源氏物語の語りを愉しむ−紫のゆかりの物語』が関西で上演される。「初めての方、久しぶりの方、ツウの方にもご満足いただける源氏物語です」と紺野が言うように、はじめに平安時代文学が専門の早稲田大学教授・陣野英則をゲストに招いたトークセッションで物語の背景や魅力に触れる解説付き。2部の朗読では、光源氏とその子孫らの70余年4世代に渡る壮大な物語から、彼が最も愛した女性「紫の上」にスポットを当てる。実は長年『源氏物語』には触れてこなかったと明かす紺野が会見で意気込みを語った。
「私は慶應義塾大学文学部・国文科の出身なので、物語に詳しいだろうと思われがちですが、じつは膨大な資料を読むのが嫌で専攻を決めるとき、真っ先に除外したのが源氏物語でして……」。その後、本格的に触れたのは漫画『あさきゆめみし』が最初だった。そんな紺野に2017年、中学時代の恩師から一報が入った。早稲田大学名誉教授・中野幸一が『正訳源氏物語本文対照』全10冊を刊行し、記念の朗読公演をしてくれないかという依頼だった。
「恩師の頼みですから、しぶしぶお引き受けしました(笑)。それまで源氏物語といえば、恋の遍歴が書かれた物語という印象が強くて苦手でした。次から次へと浮き名を流して嫌だわって(笑)。でも中野先生の本を拝読して、自分はほんの一面しか見ていなかったんだなって。実際には男女の愛憎だけでなく、愛と裏返しの罪や人間の愚かさ、弱さなどが色褪せずに描かれていた。朗読座では、耳で聞いてストンと理解できない演目は睡魔に襲われる要因にもなりますので選びませんが、中野先生の現代語訳は原文に忠実な上、ですます調なので聞きやすい。本当に当時の宮廷に仕える女房たちが、語りかけているような感覚になると思います」
朗読座では毎回映像や音楽を使った「眠くならない」演出も持ち味のひとつ。今回は二十五絃箏・中井智弥とパーカッション・相川瞳の演奏、さらに時代ごとに描かれた錦絵の映像が朗読を彩る。「中井さんは二十五絃箏の豊かな音色で、紫の上の心情や時の流れを幻想的にも官能的にも演奏してくださる。相川さんはNHK朝の連続テレビ小説で有名になった『あまちゃんバンド』で紅白にも出演された方。才能溢れた方々の力を借りて、私の朗読も一気にパワーアップという感じ。お正月でもあり華やかに分かりやすく、誰もが楽しめる公演にしたいなと思います」
公演は2019年1月4日(金)に兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール、1月5日(土)に滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール中ホールにて上演。チケットは発売中。他、岡山・勝央、兵庫・加東公演あり。
取材・文:石橋法子
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