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美輪明宏演出・主演の舞台『毛皮のマリー』が3年ぶりに上演される。寺山修司が美輪のために書いた伝説の舞台である。その寺山の世界を伝えようとする美輪の情熱は今も変わらない。キャストオーディションからこだわり抜き、世の不条理を妖しく哀しく届ける。
『毛皮のマリー』は、男娼とその息子の物語である。寺山に台本を渡されたときから美輪は、そこに寺山自身と母の関係を重ねたのではないかと看破していた。「寺山ハツさんは、まさしく無償の愛で息子を愛したお母さんでした。ですから私は、その母性の本質を演じればいいと思ったんです。それで、映画で言えば、『ジェニイの家』のフランソワーズ・ロゼー、『母の瞳』のケーテ・ドルシュ、それから、ドイツ映画で活躍したツァラ−・レアンダーの雰囲気や、日本の田中絹代さんの母親像などミックスして、この“毛皮のマリー”と呼ばれる男娼を作り上げました」。
そんなマリーに愛されるのが美少年の欣也だ。籠の鳥のようにマリーの愛の中に閉じ込められている。そして、マリーに尽くし続ける下男、欣也に取り付く美少女、逞しき名もない水夫など、次々と現れる人物たちが、この夜の奇妙さを見せていく。下男には麿赤兒、美少女には若松武史と、これまでに何度も出演してこの世界をよく知るキャストが登場するほか、美少年に藤堂日向、水夫に三宅克幸が、オーディションで決まった。「少年役はえくぼが決め手になりました。そのかわいい感じに“哀れ”が出ると思ったんです。水夫には、農村や漁村にいらっしゃるような素朴な感じのする方を選ばせていただきました。オーディションではまず、その役をちゃんと解釈できるかどうかが大事になってきます。そしてセリフをどういう声で発するかです。その人の知識、教養、人生経験、人格、そういったものすべてを代表して出てくるのが声です。今は声に力がない方が多くなった気がします」。その美輪の嘆きをクリアして抜擢された新キャストである。期待せずにはいられない。
寺山修司や三島由紀夫に愛された美輪には、その功績を伝えなければとの思いも強い。「寺山さんにしても三島さんにしても、同じような作品が2度と出ないということは、やはりとても貴重なものなんだと思います。最近は、デジタル社会に危機を感じてレコードなどアナログに逃げておられる若い方も多いようですから、ぜひ若い方々にもこの作品を見ていただいて、情緒を育んでいただければと思います」。舞台を続ける美輪の根底にあるのは、やはり人々への愛なのである。
公演は4月2日(火)から21日(日)まで、東京・新国立劇場 中劇場、5月8日(水)愛知・愛知県芸術劇場 大ホールにて。チケットは発売中。
取材・文:大内弓子
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