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古き良きの日本の風情を現代に伝え続け、創立130年を迎える劇団新派。庶民の日常を人情喜劇として上演し、創立70周年になる松竹新喜劇。歴史ある2劇団が競演を果たす『二月競春名作喜劇公演』が、2月の新橋演舞場に登場する。この公演に出演する松竹新喜劇のホープ、藤山扇治郎に話を聞いた。
昨年はNHK連続テレビ小説『まんぷく』に出演。藤山が演じた、ヒロインに何かと缶詰をプレゼントする料理人・野呂幸吉は、“野呂缶”の愛称がつくほど視聴者に愛された。その経験について尋ねると「今まで舞台のお知らせを送っても一切何も言ってこなかった同級生が、朝ドラに出たとたん急に連絡をしてきたり。通りすがりのおばちゃんに「見てるで!」と声をかけられたり(笑)。テレビの影響って大きいですね」とニコリ。ただし浮ついた気持ちは一切ない。「舞台はやはり“今、どの劇場で何をやっているか”という情報をを積極的に掴んでいただかないと足を運んでもらえないので。人に顔を知っていただくという意味でも大きな経験でした」と、あくまでも劇団員らしいコメントだ。
言葉の端々から松竹新喜劇への愛情がこぼれ出る藤山だが、もともとは「大学を卒業して“東京の芝居”がやりたいと思って上京してきた」そう。だが「初めてのひとり暮らしでホームシックになりかけていた時に新喜劇のDVDを観たんです。その時に、なんて素晴らしいお芝居なんだ、と思ったんです」と話す。何が、彼の心をそこまで掴んだのだろう。「新喜劇は庶民のもの。描かれるのは嫁姑の問題や家族の問題といった、自分の普段の生活と比較して共感できる物語です。面白いお芝居は世の中にたくさんありますが、新喜劇は“共感のお芝居”。道徳や人情、人に対する思いやりが感じられます。そこは新喜劇が一番です。今の若い方も、観ていただいたら面白いと感じてもらえると思いますよ」。
2月の公演で上演される演目は2作品。『華の太夫道中』(『太夫さん』より改題)は新派の、『おばあちゃんの子守唄』(『船場の子守唄』より改題)は松竹新喜劇の名作だ。藤山は両作品とも出演は初めてながら、縁は深い。前者は伯母である藤山直美が、後者は祖父である藤山寛美がそれぞれ当たり役にしていたからだ。「おじいさんは僕が3歳の時に亡くなっていますのでほとんど記憶がないのですが、映像で観た『〜子守唄』の最後の場面がめちゃくちゃ面白くて。大笑いしながらも家族愛が描かれていて、これぞ松竹新喜劇だなという作品です。『太夫さん』は直美のおばさんがずっとやられていた演目。それに私のひいおじいさんは「関西新派」でお芝居をしていましたので、新派さんとも縁が深いんです。僕はまだぺーぺーですが、両劇団とも先輩方が長年培ってきたものがある。師匠から弟子へ、親から子へ伝えてきたものというのは、良いものだからこそなんです。そういう作品に出演できることは本当に嬉しいです」。
出演は水谷八重子、波乃久里子、渋谷天外、藤原紀香ほか。公演は2月2日(土)から23日(土)にかけ、東京・新橋演舞場にて行われる。チケットは発売中。
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