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『放浪記』『おもろい女』と並ぶ森光子の三大代表作『雪まろげ』は、「嘘をつく役をやってみたい」という森の思いから作られた。物語の舞台は昭和50年、青森県の温泉街。芸者の夢子がついた小さなウソが周囲を巻き込み、やがて大きく膨らんでいく様を描いた人情喜劇だ。1980年の初演以来500回を超えるヒット作で、2016年には森が演じた夢子を高畑淳子で復活上演。そして2019年、主なキャストはそのままに再演が決定。大阪は4月5日(金)より新歌舞伎座で幕を開ける。
温泉街一の売れっ子芸者で、金勘定に目がない銀子を演じる榊原郁恵。「銀子さんは小さな温泉街の中でも一匹狼みたいなところがあり、そういう役柄が今までになかったので、初演ではかなり悩みました」と振り返る。夢子役の高畑淳子を筆頭に、小料理屋を営む千賀役の柴田理恵など、実力ある俳優が勢ぞろい。「その中で私が演じる銀子は一番の人気者芸者という説得力がないといけないので、かなり力みました。どうやったって太刀打ちできないメンバーばかりだと思っていたので」。
お座敷の場面もあることから、少しでも役に近づこうと日舞を習い、赤坂の料亭にも行った。そんな中、テレビ番組の企画で青森県の浅虫温泉を訪れる機会を得た。「そこで92歳になる芸妓さんにお会いすることができ、とても貴重な経験でした。90代と思えないほどしなやかな動きで踊ってくださって、皆様を楽しませようとするサービス精神を学びました。青森では雪の情景も肌で感じることができましたので、その思いもしっかりと胸に秘めて再演も挑もうと思います」
夢子のライバルという存在でもある銀子。「高畑さんの舞台は何回も拝見していますが、ゼロから役や舞台を作っていく様は今まで見たことがなくて。ライバルなので私も高畑さんと同じレベルにいなきゃいけない。じゃないとお客様にもその関係性が伝わらないし、『雪まろげ』の深みもなくなると思っていたので。高畑さんはものすごくパワフルで、体当たりってこういうことなのかなと思いました。稽古場から常に何か空気が動いている感じでした」。
冒頭では温泉街一の売れっ子芸者として華々しく舞台に登場する銀子。中には榊原郁恵だとわからない人もいたとか。「再演でもちょっと違った私を皆さんに楽しんでいただけたら」と意欲を見せた。
『雪まろげ』は4月5日(金)から18日(木)まで大阪上本町・新歌舞伎座で上演。チケット発売中。4月24日(水)から29日(月・祝)まで福岡・博多座、5月9日(木)から14日(火)まで名古屋・御園座、福島、山形、岩手、青森でも上演。
【衣装】
<ワンピース>
クチーナ
TEL:03(3467)1540
<ネックレス・イヤリング・リング>
imac
TEL:03(6458)6656
URL:http://www.imac-j.com
取材・文:岩本和子
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