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“SF”にこだわり続け、唯一無二の作品世界で多くの演劇ファンを魅了している「イキウメ」。6年ぶりの上演となる『獣の柱』は、見る者に恐ろしいほどの幸福感をもたらす小さな隕石、そして空から降ってくる巨大な柱によって、世界が大きく変わっていくパニックSFだ。そこで今回の再演を前に、作・演出を手がける前川知大に話を聞いた。
代表作の『散歩する侵略者』をはじめ、イキウメには再演を重ねる作品が多い。荒唐無稽ともいえるアイデアからスタートした脚本を、ブラッシュアップし再演を繰り返すことで作品を研ぎ澄ませ、アーカイブしていきたい。そんな前川の思いがあるためだ。「この『獣の柱』に関しても、いつか書き直さなきゃと思っていたんです。すごく長いスパンのお話なだけに、個々の登場人物のバックボーンを普通に打ち出していくと、ものすごく上演時間が長いものになってしまう。あと、公演をすることで、作家の自分はこんなことを考えていたのかと、演出家の自分が気が付いていくところがあります。前回も、自分でも最後までわからなかった。今回まずやるべきはそのテーマをはっきりさせることであり、それが今ようやくつかめてきた感じです(笑)」
もともと温めていたアイデアのパイロット版として2008年に短編『瞬きさせない宇宙の「幸福」』として上演。改めて長編に書き換え、『獣の柱』として2013年に初演。そこからさらに6年を経たことで、本作はどんな変化を見せていくのだろうか。「最初のアイデアとしては、“宇宙人侵略もの”みたいなイメージで考えていたんです。でも『獣の柱』になった時、この作品で起こる“大状況”みたいなものを、震災の2年後ということもあり、そこに当てはめて観る人が多くて。それに比べると自分自身、もっと落ち着いて、広い視野で書けている気はしますね。ある一個の出来事に対する解釈を巡る話として。ただ柱によって人々は住む場所を移動せざるを得なくなるわけで、そういった意味で言うと、やはりその後の話だとは思います」
中心となる人物は、今回は、双子の兄妹とその友人の3人。彼らがこの世界で起きている不条理をどう受け止めていくのか。その解釈の物語になるという。「妹はキリスト教の『ヨハネの黙示録』に合わせて、その友人は科学的な知識によって、それぞれがこの“大状況”を解釈していこうとします。そんな登場人物たちの解釈に惑わされつつ、観ている側にもいろいろ考えてもらえたらなと。すごく壮大ですが、笑いもしっかりあり、間違いなく楽しい作品にはなると思います。またはっきりさせる部分ははっきりさせて、初演よりもわかりやすく伝えられたらいいですね」
公演は5月14日(火)から6月9日(日)まで、東京・シアタートラム、6月15日(土)・16日(日)大阪・サンケイホールブリーゼにて。チケット発売中。東京公演については3月28日(木)10:00より追加公演のチケットを発売開始。
取材・文:野上瑠美子
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