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新橋演舞場で上演される「八月新派公演 山村美紗サスペンス 『京都 都大路謎の花くらべ』」の製作発表が、6月24日、コートヤード・マリオット銀座東武ホテルにて行われた。この公演について主演の波乃久里子をはじめ、喜多村緑郎、河合雪之丞、中村梅雀、山村紅葉、長谷川純、脚本・演出の齋藤雅文が意気込みを語った。
原作は、山村美紗のミステリー小説「京都西大路通り殺人事件」。「京都 都大路謎の花くらべ」は、2006年9月に京都・南座で“山村美紗没後十年追悼”として初演した。その後「京都 都大路迷宮の恋めぐり」と改題して2015年10月に南座で上演されているが、劇団新派で、また新橋演舞場で公演が行われるのは初めて。今回は江戸川乱歩の「黒蜥蜴」、横溝正史の「犬神家の一族」に続く、“新派ミステリーシリーズ第3弾”と冠して届ける。
以前の上演では、“都会の昭和初期ロマン”や“戦後まもない地方の旧家”を描いたが、今回は現代の京都・祇園町が舞台だ。祇園のクラブ「牡丹」に、ホステス・桃子死去の報せが届く。桃子の自宅の部屋には鍵がかかったままだった。彼女を偲ぶ会には、「牡丹」のママ・美保子(波乃)をはじめ、芸妓の小春(山村)やベンチャー企業社長・山田(長谷川)ら常連客が訪れるが、警察の服毒自殺との判断に皆は疑問を持つ。やがて節分となり、花街での習わしである“お化け”で仮装をして皆が「牡丹」に集まると、第二の密室殺人が起こる。皆が疑心暗鬼となる中、新たな殺人が起こって……。
会見では、「齋藤先生の台本が楽しい。早く稽古に入りたい」と波乃が語ると、脚色・演出の齋藤が「ハロウィンパーティーを模した花街の節分会“お化け”の場面で、全員歌って、踊ってもらいます。4曲やるぞ!」と大胆な演出プランを発表。出演者が色めき立つ中、齋藤は「緑郎さんが“僕は踊らないですよね?”と聞いてきましたが、全員踊ってもらいます」と念押しし、会場は笑いに包まれた。本シーンの振付は和洋併せた形で、尾上菊之丞に依頼するという。
作者の長女でもある山村紅葉は、山村美紗作品の困難さをこう語る。「細工のできない状態で、遠くの客席から見ても理解できるトリックにするのが舞台化の難しいところです。さらに母の作品は場面転換が多く、南座では回り舞台でシーンを分け、花道や橋も使って、問題をクリアしていきました」。また作者の生前、舞台化は実現しなかったそうで、「新派の舞台は母も好きだったので、私もやっと親孝行できたかな」と感慨深げに語った。
「八月新派公演 山村美紗サスペンス 『京都 都大路謎の花くらべ』」は、8月3日(土)から17日(土)まで東京・新橋演舞場で上演される。チケットは発売中。
取材・文:横山由希路
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