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新感線からの“サンキュー”が詰まった極上時代劇
2019年07月16日 11時40分 [演劇]
(C)2019『けむりの軍団』/ヴィレッヂ・劇団☆新感線【撮影:田中亜紀】

劇団☆新感線の旗揚げ39周年を記念した“サンキュー公演”、いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』が、7月15日、東京・赤坂ACTシアターで開幕した。脚本を手がけるのは、2016年の『乱鶯』以来2度目の参加となる倉持裕。

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かつて軍配士として目良家と戦いながら、現在は浪人となり、賭場通いの日々を過ごしている真中十兵衛。そこでテラ銭泥棒の濡れ衣を着せられた十兵衛は、人質の子分を助けたければ、真犯人である美山輝親を5日のうちに連れ戻してくるよう命じられる。一方、目良家に正室として嫁ぐも、厚見家との同盟を反故にされ、家臣の雨森源七と共に城から逃げ出した紗々姫。そしてある木賃宿で十兵衛、輝親、紗々姫と源七が顔を合わせることになり…。

3年ぶりに赤坂ACTシアターに帰って来た新感線。その内容は、ザ・エンタテインメントな王道時代劇だった。物語の柱となるのは、十兵衛、輝親、紗々姫らの厚見家と、嵐蔵院を中心とする目良家、さらに残照が住職を務める夭願寺の3つの勢力。それぞれの思惑が入り乱れ、裏切り、裏切られ、といった怒涛の展開を見せていく。その構成力、江戸弁を多用した小気味いいセリフ運びはさすが倉持。約3時間(休憩20分込み)という新感線にしては短めの上演時間も相まって、ラストまで一気に駆け抜ける。

主役の十兵衛を演じるのは、劇団の看板俳優である古田新太。飄々とした態度で笑いを誘い、粋なカッコよさで場をかっさらう。キレ者の策士という役どころは、やはり古田にピタリと合う。しかもその古田とバディを組むのは、新感線への参加はなんと13作目となる池田成志。古田とはまさにあうんの呼吸で笑いを生み出し、しかも演じる輝親は口八丁で戦乱の世を生き抜いてきたという男。その軽みとクドさは池田ならでは。

さらにド迫力の殺陣シーンも満載の本作。そこはやはり目良家の侍大将・飛沢莉佐衛門役の早乙女太一が一歩も二歩も抜き出る。しかも冷徹とも言えるほどクールな役どころが多かった早乙女だが、今回はそれにユーモアと人間臭さが加わり、これまでにない一面を見せる。さらに紗々姫役の清野菜名、源七役の須賀健太も、高い運動能力を存分に発揮。見ごたえたっぷりの殺陣シーンへと繋がった。

劇団員がほぼ全員出演し、それぞれのキャラクターが丁寧に、かつ個性的に描かれているのも新感線ファンにとっては嬉しいポイント。サービス精神たっぷりの、まさに“サンキュー公演”にふさわしい一作だ。

取材・文:野上瑠美子

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