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ケラリーノ・サンドロヴィッチの書き下ろし最新作「ドクター・ホフマンのサナトリウム 〜カフカ第4の長編〜」が11月にKAAT神奈川芸術劇場で上演される。作・演出のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)と主演の多部未華子に話を聞いた。
今回初タッグのふたりだが、劇場などでは顔を合わせており、「初めて言葉を交わしてからはおそらく4、5年経つ」(KERA)のだそう。本作への出演について「作品の内容を知る前に出演を決めました。決め手はやっぱりKERAさんです。KERAさんの作品は全部違うけれど、そのどれもおもしろい」と多部。
本作は、KERAが『失踪者』『審判』『城』に続くカフカ4作目の長編小説を“捏造”し、舞台化するというユニークな作品。内容についてKERAは「僕もまだわからない(笑)。ただカフカの、ありもしない小説を捏造するわけですから、理路整然とした芝居にはまずならないと思います。そうした作品を歓迎してくれるのがKAATですしね」。KERAが書くとはいえど多部も「難しいイメージがあり、読んだことはありません」と明かすカフカ作品。やはり難解なものになるのだろうか。
カフカの大ファンでこれまで2作、カフカにまつわる作品を上演してきたKERAは「世の中にはいろんな「面白い」があって、スッキリとわかりやすい面白さもあるし、爽快感を伴う面白さもある。そしてなんだかわからなくて観たあともモヤモヤするような面白さもあるんですよね。絵やダンスを観て、“これどういうことなの?わからないからつまらない”と言う人っていないじゃないですか。絵画やダンスは“わかろう”という前提で観ないから。“わかる”ってことだけじゃないんですよ、“面白い”って」。その世界で演じるのは大変そうだが、多部は「内容をよく理解できないまま稽古場に行くことは結構あることなので、いつも通りです」と飄々。「けれど稽古で“何度読んでもわからなかった”と話すと、大体松尾(スズキ)さんに“え!”と言われてしまいます(笑)」と笑う。その松尾作品での活躍は実は本作にも直結している。「僕は昔から松尾さんをすごく信じているから。その松尾さんの作品に何本も出ている多部ちゃんへの信頼は大きいんです」(KERA)。舞台での芝居が「1番好きです。本番の約2時間を頑張れば終わる、その潔さが好きです」と話す多部が、KERAとの初タッグでどんな姿を見せるかにも期待したい。
「カフカを捏造しようと思ってもカフカにはなれないし、“やっぱKERAだな”と思われるんじゃないかな。難解なりにポップになると思う、僕がやると。久しぶりに生演奏もあるし」(KERA)という「ドクター・ホフマンのサナトリウム 〜カフカ第4の長編〜」は、11月にKAAT神奈川芸術劇場にて上演。8月24日(土)からの一般発売に先駆けて、チケットぴあでは先着先行受付中。
取材・文:中川實穗
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