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近松門左衛門の空白の10年を描く「THE BLANK!」稽古場レポート
2019年09月10日 10時00分 [演劇]

鈴木勝秀が脚本・演出を務め、浜中文一が主演、ラサール石井、江田剛(宇宙Six/ジャニーズJr.)、内藤大希らが出演する「THE BLANK!」。「曽根崎心中」「女殺油地獄」人形浄瑠璃や歌舞伎で今も上演される作品の戯作者である近松門左衛門。近松が頭角を現したのは30代になってからであり、近松の20代は歴史上より消されている。その「空白の期間」を描いた物語だ。

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都内某所での稽古場に訪れると、ウォーミングアップや発声練習をそれぞれにする中、江田がアンサンブルらにダンスの動きを教えている姿が。鈴木の指示にあわせて、カウントをとりながら並んで動きのアドバイスをしてあげたりと、カンパニーの一員としてチームを引っ張っていた。

この日は中盤までの通し稽を実施。物語はラサール石井演じる後水尾上皇に、近松門左衛門(浜中)が呼ばれるところから始まる。近松の物語を進行させていくのが、現代を生きる歴史学の学者・寺田(細見大輔)と日本文学の学者・長岡(小林且弥)。現代と過去を行き来しながら、要所で説明を加え、わかりやすく進んでいく。寺田の約10分に渡る歴史の説明では、コミカルな身振り手振りを加え、アドリブではおもわず笑いが起き、稽古場全体が盛り上がる。現代と過去で緩急を付けた舞台構成になっている。
また後の大石内蔵助である大石良雄(江田)と、その父・大石良昭(香取新一)が「塩の道」についての構想を語る場面は、壮大な目標が掲げられるだけでなく、門左衛門と良雄の友情が確固たるものとなる重要なシーン。浜中、江田ともに真剣な表情で挑んでいるのが印象的だ。
「塩の道塾」立ち上げ後は、塾生である平馬(内藤)、塾生らにポルトガル語を教えるセファルディー老子(陰山泰)も加わり、笑いの絶えないにぎやかなシーンが続く。中でも、門左衛門の未来へ繋がるような、ポルトガル語を学ぶ方法として演劇を取り入れる・・・という流れで劇中劇として浄瑠璃風芝居を披露するシーンでは、門左衛門、平馬をはじめとした塩の道塾生全員が真面目にやっているだけにおかしみが増していく。ここで出てくる演劇が、門左衛門の今後にどう繋がっていくのかも見所だ。

約1時間を通した稽古場公開終了後は、演出の鈴木から「本番まであと3週間あるのでここから3倍面白くなります!」とのコメントが。「塩の道」から戯作者へ、近松門左衛門の知られざる10年を描く本作、初日を楽しみに待とう。公演は9月14日〜25日まで東京・よみうり大手町ホールにて、9月27日〜29日まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて。チケットは現在発売中。

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