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平成3年に哲学者の梅原猛と市川猿翁(当時は三代目猿之助)が創り上げた伝説のスーパー歌舞伎『オグリ』。その伝説の作品が、スーパー歌舞伎II(セカンド)『新版 オグリ』として生まれ変わる。来年の博多座(福岡)、南座(京都)公演に向けた取材会に市川猿之助(四代目)と中村隼人が出席し、意気込みを語った。
猿之助は、遠方地域から来場する観客にも配慮しつつ、東京公演よりも「時間を短縮します」と宣言。と言っても、もちろん無理やり削るわけではなく「(東京で)2か月やって、ここはいらない、ここは増やしたいというところが見えてきました。初演は“あれもやりたい”“これもやりたい”といろいろ詰め込むけど、今度は凝縮していきます」とより洗練した『オグリ』を見せるべく意気込む。
束縛を嫌い、心のままに生きる小栗判官が、地獄や現世を渡り歩くさまを描く本作。伯父の手による、もはや“伝説”と化している舞台と比較されることになるが猿之助は「こだわりは“前作にとらわれないこと”。過去って美化されがちだけど、“昔はよかった”という言葉は気にしないように」と独自の世界の構築に自信をのぞかせる。
猿之助、隼人が小栗判官と遊行上人を交互に演じるが、互いの小栗判官の印象を尋ねると、猿之助は「等身大の飛ぶ鳥を落とす勢いのある若さが(役と)重なる」と隼人を称賛。一方、隼人は「猿之助兄さんの小栗判官を見て、自分にはまだまだ及ばないと感じるのは、人々の心を煽り立て、幸福をかき乱し、リーダーシップをとって、考えの違う人も変えてしまうようなところにあるんだと思います」と、そのカリスマ性を改めて感じている様子。
物語について、隼人が作品中でスマホが出てくることに触れ「誹謗中傷をする人たちって相手がどうなるかって考えずにやることが多いですよね。これは現代のネット社会を描いているのかなと。直接手を下さなくてもそうなるツールを持っている事に、何かを感じてもらえたら」と語る。一方、猿之助は「この作品では、本当に今の生き方でいいんですか? あなたは今、本当に幸せ?と問いかけている」と語った。
取材会では猿之助が、九州から来た記者に博多のなじみの店の名をあげつつ「いま、街の賑わいはどうですか?」と逆質問するひと幕も。「(自身の公演をいい流れに)つなげられたら」と語るなど、自身の公演や歌舞伎だけにとらわれず、福岡、そして九州のエンターテイメント全体を盛り上げていこうとする強い気持ちを感じさせた。
福岡公演は、2月4日(火)から25日(火) まで博多座で上演。チケット発売は12月14日(土)、プレリザーブは12月12日(木)11:00まで受付中。その他、京都公演は12月13日(金)発売。
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