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1980〜90年代、野田秀樹、渡辺えりらに並び、日本の小劇場ブームを牽引した作家・演出家の如月小春の戯曲『NIPPON・CHA!CHA!CHA!』が1月10日(金)からKAAT 神奈川芸術劇場で上演される。マラソンでオリンピックを目指し、日本中の期待を一身に背負って生きる若者の孤独と挫折を描いた本作は、「ダンス版」と「演劇版」の二部構成で上演。日本のコンテンポラリーダンスをリードし、世界で活躍し続ける振付家・ダンサーの山田うんが、構成・振付、さらには初めて演劇の演出に挑戦する。幼少期より兄とのお笑いコンビ「まえだまえだ」として活動し、現在では俳優として活躍する前田旺志郎が主人公のカズオ役を演じる。
山田は現在の創作状況について、 「一人一人の個性や物語が日に日に際立っていく。やりがいがあって、見応えがあって、スピード感があって、本当に駆け抜けている」と語る。初めての演劇の演出ということで、手探りな場面もあるようだが、「家族のようにみんなで作っている」という。
作品で描かれる舞台は、高度経済成長期に入る少し前の日本で、本作の初演は1988年にまで遡る。“昔の作品”をこの2020年に上演することについて、山田は「いろいろな時代がミルフィーユのように層になっているのを感じる作品。戦後74年が経つけれど、嫌になっちゃうぐらい、その時と何も変わっていない」と所感を述べる。そして、「だからこそ今の私たちでも熱く感じたり、色々と実感できるところがあったりすると思う」。
前田は大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』でも水泳選手の役を演じるなど活躍を見せるが、舞台出演は2作目で、今回が初主演となる。ダンスも未経験で「最初はすごく不安だった」というが、山田の指導を受けるうち、「初めてだからこそプレッシャーを感じる必要もないし、真っ直ぐにがむしゃらにやる。無駄なものを背負う必要はない」と、考えが変化していったという。その上で、「2020年の1月ということもあって、この舞台を見て、何か一歩を踏み出すような勇気を持つ人が現れたらいいなと思う」とも語った。
そんな前田について、山田も「ぴったりの役。彼は今19歳。ダンスでも演劇でも、この体に詰まっているものが毎日変わっていき、儚さを感じる。それが、作品で描かれているような、崖っぷちに立った人が見つめる眼差しや勇気などとリンクして、本当に物語とは思えないような実感がこもっている」と太鼓判を押す。
公演は1月19日(日)まで。チケット発売中。
取材・文:五月女菜穂
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