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歌舞伎上演400年の歴史を持つ京都・南座が、今、ニューヨークなどで注目の“イマーシブシアター”と呼ぶ新たなスタイルの演劇を開催中だ。それが、イマーシブシアター『サクラヒメ』〜「桜姫東文章」より〜。南座1階の観客席を取り払い、客席エリアと舞台面を同じ高さにして一体化、2階3階をも含む広い空間を使って大胆に繰り広げるエンタテインメントだ。1月24日に開幕した初日、2階席下手(舞台に向かって左側)から体験した。
イマーシブシアター『サクラヒメ』 〜「桜姫東文章」より〜チケット情報
その昔、決められた結婚に異を唱え、自らの想い人と心中した白菊。のちに花魁・サクラヒメとして転生した彼女が、前世の愛しい相手との再会を願い、見つけ出すという物語で、歌舞伎の『桜姫東文章』をもとにした新作だ。サクラヒメの前に現れる5人の男たちの中から運命の人を選ぶのは観客。そのため、物語は5種類のマルチエンディングが用意されている。
1階は移動型体験エリア。1階入場者は荷物を預け、黒い法被を身に着けて“都人”となり、江戸の町を歩きながら物語の中に入り込む。2階・3階の客席エリアで着席観賞する観客は、“雲上人”となって物語を俯瞰し、運命の人を裁決(投票)する権利を持つ。
刺激的な幕開きに続き、華やかな花魁道中から物語が始まる。“都人”たちはその見物客となり、また、博打場を訪れたり、剣術指南やお座敷遊びに参加したり。目当ての出演者を間近で追う“都人”たちは、最初はとまどいながらも徐々に慣れ、目を輝かせながら回遊する。廻り舞台やせり上がりなど、南座の舞台機構を駆使して魅せる歌や踊り、アクション。ふたつの新たなステージは部屋のしつらえとなり、1階のそこかしこでサクラヒメの愛を求める5人の男たちがさまざまな得意技を披露する。また2階も4か所の特設場所でタップを踏んだり、歌を歌ったり。2階から1階へハシゴで降りるなど、劇場空間を縦横無尽に駆け巡る。
“都人”も“雲上人”も、豪快な連続バック宙や高難度の多彩なダンス、迫力のタップに見とれているヒマはない。上下左右に手前に奥、観どころ満載! 実力ある若い出演者を配したエンタテインメントの世界を、物語のうねりの中で立体的に見せながら、結末まで引っ張っていく。そして最後に“雲上人”が投票用紙を掲げる。選ばれし運命の人は…!?
どこで観ても参加型、どこで観ても楽しめる、このイマーシブシアター。“都人”はハイヒールを避け、動きやすい服装がオススメだ。同時多発的に行われる盛りだくさんのパフォーマンスをすべて観るには、1度ならず2度、3度、視点を変えて楽しみたい。
公演は2月4日(火)まで、京都・南座にて。チケット発売中。
取材・文:高橋晴代
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