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劇団東京乾電池の綾田俊樹とベンガルによるユニット、綾ベン企画にとって約3年ぶりとなる公演『川のほとりで3賢人』が間もなく幕を開ける。演出は、前作『やんごとなき二人』を手がけた映画監督・平山秀幸が続投。本読みを終え、立ち稽古2日目を迎えた1月半ば、綾田・ベンガル・平山がインタビューに応じた。
木野花をゲストに迎えて上演された『質屋の女』(1990年)以来、女優と三人芝居を繰り広げることの多かった綾ベン企画。今回は、東京乾電池を1999年に退団した広岡由里子をゲストに、多摩川の河川敷で隣り合わせに暮らす男性ホームレスふたりと、彼らの前に現れた「福祉課・馬場マチコ」を名乗る女性の“哀しくもおかしな”物語が展開される。
本作のはじまりは、前回公演に遡る──。「ホームレスに興味があった」綾田とベンガルは、平山をはじめスタッフと実際に多摩川を訪れ、河原で暮らす人々と交流を図った。煙草を差し入れると喜んで会話に応じる者も、一方で「絶対に口を閉ざす話題があった」と語るのはベンガル。彼らの“虚実ないまぜ”話に平山は「ドラマ性を感じた」として、旧知のシナリオライター・安倍照雄に脚本を依頼したと振り返る。
今回の上演にあたって再び多摩川を訪れると、2019年10月の台風19号による氾濫で全てを流されても戻ってきた、打たれ強いホームレスの姿が。綾田は「たくましい生活力を持つ人たちを身近に感じてもらえるように」、ベンガルは「社会からドロップアウトせざるを得なかった彼らの事情を念頭に置きながら」それぞれの役どころを全うできれば、と静かに決意を新たにしてみせる。
平山は、第2回公演から東京乾電池を“追っかけ”ている生粋の劇団ファン。「(綾田とベンガルの)ふたりが気持ちよく芝居できる手伝いができたら」という思いで、本作も演出を手がける。脚本・てっかんマスターの正体は、東京乾電池の劇団員・戸辺俊介。乾電池“一味”が揃い踏みする中、劇団に縁のあるゲスト・広岡を、ベンガルが「あいつが河原に現れるだけで強烈だよな……」と評すると、綾田もすかさず「洪水以上のインパクトあるよね!」と続く。その様子を見守っていた平山も大きく頷き、「放し飼いで好きに演じてもらえたら、それがいちばんおもしろいよね」と笑った。
公演は2月21日(金)から3月1日(日)まで、東京・下北沢駅前劇場にて。チケット販売中。
取材・文:岡山朋代
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