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3月の紀伊國屋ホールでは、12日(木)以降半月をかけ、中屋敷法仁演出の「改竄・熱海殺人事件」が上演される。「熱海殺人事件」の作者は、つかこうへい。つか自らが台本・演出に手を加えた1991年の「ザ・ロンゲストスプリング」版と、1993年の「モンテカルロ・イリュージョン」版がこの度、各回替わりでお目見えする。中屋敷は何故タイトルに改竄と付けたのか。また「ロンゲスト」に荒井敦史を、「モンテカルロ」に多和田任益を、それぞれ木村伝兵衛役に据えたのか。3人に話を聞いた。
「熱海殺人事件」は他にも「売春捜査官」や「平壌から来た女刑事」など、様々なバージョンがある。それにしても中屋敷は何故「ロンゲスト」と「モンテカルロ」を選んだのだろうか。「『熱海』の中でも、この2つはかなり際をいく作品だと思います。しかもつかさんが、俳優さんに合わせてオーダーメイドしているセリフと演出が多い。まさに『熱海殺人事件』の作品自体が『熱海』を脱却しようとしている時期に書かれたもので、本当はつかさん自身が一番改竄したがっていたんじゃないかと」
木村伝兵衛役はハッタリを利かせるかのように、立て板に水のごとく放つ長ゼリフが有名だ。役者の体力や瞬発力がモノをいうため、出来る俳優は限られる。中屋敷に荒井と多和田を選んだ理由を聞くと、「昨年2月に行われた『戯曲探訪「つかこうへいを読む 2019春」』の『俳優たちを交えての朗読による発表会』がきっかけだった」と語る。これは中屋敷が好きな俳優に、「熱海」の「ロンゲスト」「モンテカルロ」「売春捜査官」をリミックスした形で、気に入った箇所のみを朗読してもらうもの。荒井に言わせれば「別々の『熱海』をつなぎ合わせて、全く違う『熱海』を作る」感覚だったという。
朗読会の時は、本公演が決定していなかった。中屋敷は朗読で「熱海」作品のクセを確認していたらしいが、2人は「もしも朗読会だけで、本公演に呼ばれなかったら……」と気が気でなかったらしい。実際に本作の話が来た時の心境を聞くと、2人とも派手なガッツポーズを見せる。多和田に言わせると「せっかくつかさんのセリフで達成感を得たのに、おあずけ状態にならなくて良かった」と。これが正直なところだ。
最後に中屋敷はこう語る。「演出家の私も改竄しますけど、多和田は多和田で、荒井は荒井で、元の作品のどこをトレースして、どこを改竄するのか。きちんと稽古場に来る前に考えてくると思うので、とても楽しみです」。「改竄・熱海殺人事件」は、3月12日(木)〜30日(月)に東京・紀伊國屋ホールにて。チケットは発売中。なお4月には、大阪・福岡公演も行われる。
取材・文:横山由希路
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