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同名のアニメ映画に着想を得た大ヒットブロードウェイ・ミュージカル『アナスタシア』。国内では6月の宝塚歌劇団宙組公演に先駆け、3月に日本初演オリジナル版が開幕する。本作で木下晴香とダブルキャストで主演に挑むのが“朝ドラ女優”の葵わかな。昨年『ロミオ&ジュリエット』で華々しくミュージカルデビューを飾った期待の若手女優だ。
本作は、20世紀初頭のロシアを舞台に、記憶喪失の娘アーニャと、殺害された皇帝ロマノフ2世一族の生き残りとして噂される末娘アナスタシアを巡る物語。孫娘の生存を信じパリに住むマリア皇太后、アーニャと懸賞金を狙う詐欺師ディミトリ、アナスタシアの暗殺を企む将校クレブなどの思惑が交錯し、スリリングな愛の冒険譚が始まる。
アニメ映画と海外公演を観たという葵。「ミュージカル化するにあたって追加された楽曲も全部素敵で。アーニャのソロ曲『Journey to the Past』『In My Dreams』はともに“ザ・見せ場”という雰囲気に圧倒されました」。アーニャは現代に通じる“強い女性の象徴”と捉える。「でも台本を読むほどに、普通の女の子という印象がすごくあります。彼女だけが特別だったわけじゃない。普通の女の子が夢や信念を持ち続けた結果、あのような結末になったのだと思います。演じるにあたって、誰もが主人公になれるという風に描いた方が、魅力的に映るのかなと今は感じています」。
昨年の『ロミオ&ジュリエット』に続き大役を射止めたが、そもそもミュージカルへの出演は想定外だった。可能性を広げるため「やりたい役」を決めない主義。でも、舞台で観たジュリエット役に一目惚れ。初めて「絶対に演じたい」役と出会い、当時朝ドラ『わろてんか』出演中だったにも関わらず、撮影の合間を縫いながら、自主的に歌のレッスンに通い始めた。その後、『ロミオ&ジュリエット』オーディションのチャンスが巡ってきた。
「全然何も決まってなかったのに、ずっとジュリエットの歌を練習していたので、私の執念がオーディションを呼んだ!と思うくらいでした(笑)」。初舞台では実際に涙する観客を目の当たりにした。「千人分の涙の気持ちを吸収して演じると、自分でも今まで出せなかったほどの悲しみが表現できて。そこに魅力や不思議さを感じました」。
本作でも会場との一体感を楽しみにしている。「耳に残る楽曲、装置や衣裳、お話の広がりかたも日本で上演されている作品にはないと感じるほどのスケール感なので、すごく新しいものになると思います。繊細な心の機微や日本人らしいカラーも含めて描ければ。日本のお客様が感情移入できる作品に創り上げていきたいです」。
公演は3月9日(月)から28日(土)まで東京・東急シアターオーブにて、4月6日(月)から18日(土)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケット発売中。
取材・文:石橋法子
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