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2019年に東京・日本科学未来館で開催され、27万人を動員した『マンモス展 −その「生命」は蘇るのか』が、7月31日(金)より大阪で開催される。展示構成監修を務めた作家・クリエイターのいとうせいこうに話を聞いた。
約4000年前に絶滅したと言われている大型哺乳類のマンモス。本展では、2005年の「愛・地球博」で700万人が熱狂した「ユカギルマンモス」をはじめ、ロシアの永久凍土から発掘された世界初公開を含む貴重な冷凍標本を展示。古生物学や生命科学などのさまざまな角度から見つめ、マンモスの実像に迫る。
本展の話を受けたいとうは、実際にロシア・サハ共和国を訪れ、知識を深めた。「僕が構成監修をするには、説得力を持たせないといけない。だからとにかく現地に行こう!と。20人ほどのスタッフが参加して、サハ共和国の首都、ヤクーツクにあるマンモスミュージアムの館長から話を聞いたり、標本を実際に触ったりすることで出てくるアイデアがたくさんありました。本当は結び付いていないことが、ある見方をすると結びついてくることがある。それが展覧会の面白いところで、このマンモス展はそれが割とうまくいっていると思います」。
マイナス40度を超えるサハ共和国。その現地の環境や空気に触れ、感じたことも大きい。「写真を撮るために丘の上に行ったとき、下にある町のあちこちから犬の鳴き声が聞こえるんですね。犬との暮らしが見えたというか。その前に、1万数千年前の仔犬の標本の説明を受けていて、それが人間と犬が初めて共存し始めた頃のものだと聞いていたんです。だからその光景を見たときに、あの仔犬は遠い世界の、我々から全然関係のないものじゃないんだっていう“リアル”を感じて、過去と今がつながった。実際に行ってさまざまな情報を得ることはとても大事で、僕だけでなく現地に行ったスタッフそれぞれに得るものがあった。だからものすごく議論が過熱して、その熱の中で今回の展覧会ができたんです。観ていただいた方から“エモい”っていう感想をたくさんいただけたのは、みんなの熱い気持ちが伝わったんだと思います」。
過去、現在、未来の3つの展示ゾーンで構成されている本展。その中で、いとうが“言葉”で来場者の想像力を掻き立てる。「“ここにあるものがどういうものを表していますか?”とか、呼び掛けるような言葉で気持ちに訴えたいなと。それによって、遠い世界の話ではなくて、地球温暖化のことを考えたり、自分の問題なんだと思ってもらえるんじゃないかな。“命”をひとつのテーマに、DNA、人類、地球の問題について考えられるものになっているので、いろんなところに引っかかってほしいなと思います。世代によって感じることが違うと思うので、ぜひ家族で観て、感想を言い合ってもらえたらうれしい。それが次の時代を生んでいくことにつながるので。それぞれに、自由に楽しんでほしいですね」。
『マンモス展 −その「生命」は蘇るのか』は、7月31日(金)から9月22日(火・祝)まで大阪南港ATCギャラリーにて。チケット発売中。
取材・文:黒石悦子
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