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俳優の小沢道成が、作・演出・美術までも手がける演劇プロジェクト「EPOCH MAN」。2019年に好評を博した田中穂先とのふたり芝居『夢ぞろぞろ』が、2021年2月に再演される。そこで小沢と、EPOCH MANのファンだという大人計画の宮崎吐夢に話を聞いた。
小劇場に足繁く通い、自ら演劇について語るイベントも開催している宮崎。そんな彼が初めてEPOCH MANを観たというのが、2018年のひとり芝居『Brand new OZAWA mermaid!』だ。本作について宮崎はこう振り返る。「僕はひとり芝居、特に演者が台本も書いているひとり芝居が好きなんです。非常に私小説的というか、書いて演じる人の想いや人となりが、強く伝わってくるので。ただ小沢くんの『〜mermaid!』に関しては、ひとり芝居とかそういうことを遥かに超えて圧倒されました」
初演の『夢ぞろぞろ』についても、「小沢くんはもちろん、相手役の方もすごくよかった」と語る宮崎。その言葉に「嬉しい」と微笑む小沢に、本作の創作経緯について聞いた。「僕、樹木希林さんが大好きなんです。亡くなられたとニュースで知った時、込み上げてくるなんとも言えない感情が、この作品を作るうえで一番の動機になりました。きっと樹木さんって、『私のことなんていいのよ』と言いつつも、全部自分の話にしてしまうような、面白さと愛おしさのある方だったと思うんです。そういう方をモデルに、さらに駅の売店がクルクル回る美術をやってみたいと思って作ったのが、この『夢ぞろぞろ』なんです」
駅の売店で働く60歳の女性を小沢が、突然電車に乗ることが出来なくなった青年を田中が演じる本作。改訂を予定しているかと聞くと、「1文字も変えていません」と小沢は言う。「僕の『鶴かもしれない』という舞台はどんどん練って、変えていく作品だと思うんですが、『夢ぞろぞろ』は変えちゃダメな作品ではないかと思っていて。僕が期待しているのは、2019年とは状況が変わっていることで、お客さん側の捉え方が変わること。今回そこが面白いんじゃないかと思っているんです」
取材前に初演の映像を見返してきたという宮崎は、メモをめくりつつ、「こんないいセリフあったっけ?って忘れてたのがいくつもあって。たとえば青年を励ます時の『とりあえずチョコレート食べよう』」。またも「嬉しい」と微笑む小沢の口調からは、そこに至った苦労もにじむ。そして宮崎はこう続ける。
「演劇を語る上で『わかりやすい』『間口が広くて誰でも楽しめる』は必ずしも誉め言葉ではないのですが、小沢くんの作品は非常にわかりやすいのに、すぐには言語化できない深い感動もじわじわ味わえる。ボヤボヤしていると伝説の舞台になってしまうかもしれないので、未見の方はお早めに」
EPOCH MAN『夢ぞろぞろ』のチケットは12月11日(金)10時よりチケットぴあで先着先行販売。一般発売は2021年1月9日(土)10時より開始。
文:野上瑠美子
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