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大竹しのぶ『フェードル』再演に「演劇の“原点”感じて」
2020年12月10日 14時31分 [演劇]

大竹しのぶが、古典劇『フェードル』再演に挑む──。義理の息子に対する狂おしい恋情に身を焦がすタイトルロールを続投するにあたって、ユーモアを交えつつ心境を語ってくれた。

17世紀フランスの劇作家ジャン・ラシーヌが、ギリシャ悲劇『ヒッポリュトス』から想を得て創作した本作。アテネ王テゼの妻フェードルが抱く、義理の息子イッポリットへの禁断の想いや愛憎が描かれる。『ピアフ』で知られる主演・大竹と演出・栗山民也のタッグによって上演された2017年版で大竹は圧巻の演技を見せ、紀伊國屋演劇賞個人賞を獲得した。

悲劇へ向かうキャラクターを際立たせるセリフの数々、ほとばしる破滅的な激情の応酬に、折に触れて「演劇の“原点”を感じられる作品」とその魅力を挙げてきた大竹。一方で「役者の声と肉体だけで登場人物の感情を増幅させ、同時に作品世界も成立させなきゃいけない」として、「自分の内側から言葉を発し、マグマのようなエネルギーをたぎらせて相手役に向き合わないと」と背筋を伸ばす。

再演となる今回、フェードルから強い想いを向けられるイッポリットには、大竹&栗山と初顔合わせの林遣都がキャスティングされた。一挙手一投足を緻密に定める栗山の指導に「言う通りに動くと役がスッと降りてきて、すっごくおもしろくなるの!」と全幅の信頼を寄せる大竹は「初めての方は絶対、栗山さんの演出が勉強になります」「私にできるアドバイスならどんどん答えていきたいなぁ」と若い才能を率いる座長としての顔も覗かせる。

神話的世界が見え隠れする一見難解な古典劇のセリフも、大竹によれば「人智を超越した力をもらえる感覚なんですよね」──。シェイクスピアの独白ゼリフが精神科の治療として使われていた過去を例に挙げつつ「あの特徴的な古典劇の長ゼリフには、人間を元気にする力が宿っているんじゃないかな」と考える。

ギリシャ悲劇と言うと難しく感じるが「おばさんが、若い男の子を好きになって、でもその子はやっぱり若い女の子が好きで『あー、悔しい。何とかしよう』というシンプルなストーリーと思ったら笑えませんか?」と大竹。最後には「とにかく情熱的なフェードルの生き方を観て、最後に『あー、面白かった』ってスッキリしてもらえたら嬉しいです」と語り、インタビューを結んだ。

公演は2021年1月8日(金)〜26日(火)に、東京・Bunkamura シアターコクーンにて。その後、2月に地方巡演が予定されている。

取材・文:岡山朋代

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