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豪華客船内で巻き起こるとびきり陽気なドタバタ騒ぎを、ジャズのメロディーと華やかなダンスで魅せるブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』。作詞・作曲を手掛ける名匠コール・ポーター最大のヒット作との呼び声が高い傑作コメディだ。演出に宝塚歌劇団の座付き作家・原田諒を迎え、元星組トップスターの紅ゆずるが主演を務める。大阪公演に向けた取材会で紅は「『めっちゃ面白かった!』と、ひと時現実を忘れられるのがエンタテインメントの良さ。地元大阪ではひと暴れしたいですね」とユーモアたっぷりに意気込みを語った。
ブロードウェイ・ミュージカル「エニシング・ゴーズ」チケット情報
ナイトクラブの大スター、リノ・スウィーニー(紅ゆずる)はウォール街で働くビジネスマン、ビリー(大野拓朗)に首ったけ。一方のビリーは社交界の華、ホープ(愛加あゆ)にゾッコン。そのホープは母親のイヴァンジェリン(一路真輝)に連れられ、英国紳士オークリー卿(廣瀬友祐)と船上で結婚式を挙げるためリノと同じ豪華客船に乗り込んでくる。偶然にも上司のホイットニー社長(市川猿弥)を見送るため港に来ていたビリーはそのことを知り、慌てて乗船。神父に変装した指名手配犯のギャング、ムーンフェイス(陣内孝則)と情婦のアーマ(平野綾)などワケありな乗客を巻き込みながら、何でもあり(エニシング・ゴーズ)な船旅の幕が開く。
物語の根底にある“人を思いやる心”が大阪と似ていると語る紅。「一回喋ったら友達、みたいな心の近さとか、諦めないしつこさとか。心と心の交流がドラマを生み出していくのだと思います」。演じるリノは世話好きで豪快な女性だ。「みんなが大惨事!となっている時も、『しょうがなくない?』と言える心の余裕や器の大きさをすごく感じます。一言で周囲を納得させてしまう説得力や存在感が必要だなと」。そこは組を率いた経験が大いに生かされる。反面、男役の癖がついつい出てしまうことも。「男性とのデュエット場面で、毎回相手をリードしてしまったり、無意識に肩で風切って歩いてしまうんです」と苦笑。さらに本作では「メロディーや音階が複雑で難しい」歌唱や、衣裳の着こなしでも女性らしさを追求する。「今までに観たことのない紅ゆずるになると思います。ファンの方が観たら、ビックリするかもしれないですね」。良いものを目指し、演出家からの要望も尽きないが「やりがいがある」と闘志を燃やす。
大恐慌から少し落ち着きを取り戻した1934年に初演、同時代を生きる人々から圧倒的な支持を得た本作。「しんどい時代にこそ喜劇が求められるんだなと。人間の強さを象徴的に表すような作品だと思います。心の底から笑って『観に来て良かった』と思っていただけたらうれしいです。期待してお待ちいただきたいです」。
公演は8月11日(水)から29日(日)まで東京・明治座、その後、愛知、大阪、福岡を巡演。大阪公演は9月17日(金)から26日(日)まで新歌舞伎座にて。チケット発売中。
取材・文:石橋法子
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