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KAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督に就任した長塚圭史が、メインシーズンの幕開けに選んだのは『近松心中物語』。境遇の異なるふた組の恋愛模様を描いた秋元松代の代表作で、亀屋忠兵衛と遊女梅川を田中哲司と笹本玲奈が、傘屋与兵衛と妻のお亀を松田龍平と石橋静河が演じる。そこで松田と石橋に話を訊いた。
長塚の演出作品への参加は、今回で3度目となる松田。長塚との作品づくりについて、「心の動き、感情ってものをすごく大切にされている方ですよね。その人の情報や置かれている状況を整理した上で、ハートでセリフを言うってことを信じている。きっかけとなるアイデアもたくさんもらえるので、毎回助かっています」とその魅力を語る。
石橋と長塚はこれが初の顔合わせ。稽古開始からまだ1週間とのことだが、「長塚さんの中で、なにか感覚的な世界が見えているのかな、というのはすごく感じます。理屈よりも、『なんかもっとわー!っと見えて欲しい』みたいなことをよくおっしゃるので(笑)。私自身、舞台で大事なのはそういうエネルギーだと思うので、毎日すごくワクワクしています」と期待を寄せる。
タイトルにもあるように、本作で描かれるのは、ふた組の男女が心中に至るまでの顛末。「ただ同じ心中にでも、それぞれまったくトーンが違うと思います」とは松田。石橋も「忠兵衛と梅川、与兵衛とお亀で全然空気感が違うので、それが面白く出たらいいですよね」と続ける。その違いについて、「忠兵衛と梅川はひと目惚れで恋に落ちますが、与兵衛とお亀は幼馴染で夫婦。その温度差は大きいと思います」と松田が理由を挙げると、石橋は「忠兵衛と梅川は生きているうちにふたりが盛り上がっていくさまが描かれますが、与兵衛とお亀は逆。それがすごく切ないんです」と分析。すると松田から「とにかくお亀が切ないんですよ! 辛い!」と、お亀への熱い想いが溢れた。
その一方で松田からはこんな言葉も。「心中物語ということで暗いイメージが先行してしまう気もするんですが、実は明るさと暗さの塩梅がすごく素敵な作品。当時を想像出来るような世界観など、総合的に楽しんでもらえると思います」。石橋も「単に何百年前の話というのではなく、今と同じように一生懸命暮らしていた人がいる。それって、今のこの苦しい状況に縛りつけられてしまっている人たちにとっても力になると思いますし、このわー!っていう気持ちを楽しんでもらえたらと思います(笑)」と語った。
取材・文:野上瑠美子
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