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朗読と能で描く陰陽師と鬼の世界 幽玄朗読舞『KANAWA』が2021年8月31日(火)、東京・博品館劇場で開幕した。
本作は、能作品『鉄輪』のストーリーを、3人の声優による朗読(キャストは公演回で異なる)と、古典舞踏家・山村楽千代による舞などの手法を融合させて作り上げる、新しい形のエンターテインメント。初日を飾った、浜田賢二(安倍晴明)、廣瀬大介(藤原和人)、三上枝織(鬼女)の回を見た。
舞台上には、貴船神社を思わせる朱色の春日灯籠と大鳥居、満ち欠けする月が見える。笛の音が不気味に響くと、平安時代の京の世界に観客は誘われる。『鉄輪』のあらすじは、桔梗という女が、自分を捨てて新しい妻を娶(めと)った夫・美努を恨み、丑の刻参りを行い、鬼となって復讐するというもの。本作ではそこに、陰陽師の安倍晴明、晴明の弟子である藤原和人、和泉式部らを絡めることで、切なく悲しい物語にほっと息がつける場面が生まれていた。
キャストは、立ち位置の変化はあれど、複数の人物を声だけで演じ分ける。実力派声優が顔をそろえるだけあって、聴きどころが満載だ。また、朗読の合間に、山村楽千代による地歌舞(地歌という歌に合わせた舞)が挟み込まれるのだが、そのコラボレーションに全く違和感はなく、むしろ、舞によって平安時代の空気感や質感をより堪能できる気がした。
上演時間は約85分(途中休憩なし)。光と音楽の効果を駆使して、観客の想像力を刺激しつつ、後半はかなり意表をついた演出も。たとえ能に造詣が深くなくとも十分に楽しめると思う。
公演は9月5日(日)までの全9公演。その他の出演者は、赤羽根健治、伊藤健太郎、井上和彦、笠間淳、神尾晋一郎、木島隆一、沢城千春、土屋神葉、中澤まさとも、中島ヨシキ、三木眞一郎、逢田梨香子、岡村明美、香里有佐、古賀葵、森優子、柚木涼香、吉岡茉祐(男女五十音順)。組み合わせなどの詳細は公式ホームページ(https://t-onkyo.co.jp/roudoku_seiyu/kanawa/)参照のこと。
取材・文:五月女菜穂
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