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演 劇
大人計画の主宰であり、Bunkamuraシアターコクーンの芸術監督でもある松尾スズキ。そんな松尾は今回COCOON PRODUCTION2021+大人計画『パ・ラパパンパン』では演出に専念するという。では作品を書くのは…!?
タッグを組むのはNHKの時代劇『ちかえもん』で出会った藤本有紀。コメディセンスと洗練されたストーリーテリング、そしてセリフの面白さに松尾をして「これは勝てない」と思った作家が脚本を担当する。
「精密なミステリー劇というか、一幕ものを想像していましたが、(脚本を読むと)現実世界と小説の世界を登場人物が行きつ戻りつ展開する混沌とした作品。そこには演劇的な自由さを感じます。その上トリックと伏線が最後には、見事に回収されていく。演劇とドラマが合わさった不思議な魅力に満ちた作品です」(松尾)
泣かず飛ばずのティーン向け小説家が、つい雰囲気に流され「本格ミステリーを書く!」と宣言したことから物語は始まる。作家が無理矢理ひねり出したのはディケンズの『クリスマス・キャロル』を模した19世紀イギリスが舞台の物語。このままでは……と編集者が諌める中、傑作が書けたと安堵する作家。しかしあることに気づき慌てて編集者に連絡をとろうとする。そこから現実と小説の世界がないまぜになり…。
作家・てまりを松たか子、そして“相方”となる編集者に神木隆之介。『クリスマス・キャロル』の登場人物でもあるスクルージを小日向文世らが演じる。「てまりという作家の頭の中の登場人物たちが実際の舞台で動く。演じるのは大変かと思いますが、遊びと楽しさが詰まった舞台になると思います」(松)。「歌や声に注目が集まりがちですが、松さんは動きに無駄がない。笑いは間と動きで決まります。無駄な動きが入ると間が崩れるんです。「笑い」ができる役者ですね、松さんは」(松尾)。
果たして本作はどんな笑いの先に感動を与えてくれるのか。「クリスマスの魔法が奇跡のように思わぬ広がりを見せる、舞台上の二日間を楽しんでいただければと」(松)。「わずか二日間の物語ですが“作家が作った小説の世界観”と“作家のいる現実”。そのふたつの間で起こる出来事を解決していく推理ドラマは、私がうまく演出できたら楽しい作品になるはずです(笑)!」(松尾)。ファンタジックなミステリーコメディをぜひ劇場で。
公演は11月3日(水・祝)から28日(日)まで東京・シアターコクーン、12月4日(土)から12日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて。大阪公演のチケットは11月7日(日)一般発売。
取材・文:安藤善隆
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