タレント ニュース
演 劇
重松清の小説『ナイフ』に収録されている1編をもとにした、近藤芳正による一人芝居『ナイフ』が2022年1月21日から水戸芸術館ACM劇場で、2月4日から東京芸術劇場シアターイーストで上演される。
いろいろなことから逃げていた父親。ある日、父親はひどい落書きがされた教科書を見つけ、息子がいじめられていることに気づく。この事実とどう向き合っていいか分からない。そんな中、幼なじみが頑張っている姿を目にしたり、偶然サバイバルナイフを手に入れたことから心に変化が訪れる。やがて父親は少しずつ息子と向き合い始めてーー。そんな父と息子の愛と再生の物語だ。
昨年6月に上演が予定されていたが、コロナ禍のために“中止”となった本作。近藤は“中止”を聞いたときは「本当にガクッとなった」といい、今回の舞台についても「正直、まだ公演ができるのかどうか、半信半疑。(気持ちの)立て直しを図っている状態」と明かす。
近藤は、京都に移住したり、結婚したりと、生活環境が大きく変わったこともあり、舞台との向き合い方を改めて考えたという。「生活のためという方もいるだろうし、それでも舞台が好きでやっている方もいる。僕はどうしようと考えた時に、舞台から1回離れてみようと思った。稽古したものがなくなるというのは精神的にきついから」と話す。
俳優として、その決断は怖くなかったのかと尋ねると、近藤は即座に「怖くはなかったです。こだわっていたものが一気になくなった」と話す。「これまで仕事=(イコール)自分の評価だと思っていたけれど、仕事は仕事で、生きていくうちの一部。愛情を育てるとか、友情を育てるというところが僕は欠けていたので、そこを一生懸命修復しているところ」とも。人生観が変わった様子を語った。
ただ、本作は自身が持ち込んだ企画ということもあり、「これだけは絶対やろうと思っています」と意思は強い。
重松清とは以前から交流があったという近藤は、重松作品が大好きだといい、「本当は弱いくせに、何か強がりたい。そういう人間が描かれていて、非常に惹かれる」と、その魅力を話す。「弱者の味方でいてくれて、そして、どこか少年のような心を持っていて。読んでいると、自分の子どもの頃を思い出せるんですよね」。
□字ロックの山田佳奈が脚本・演出、大石めぐみがフィジカルコーチを務めるなど、信頼のおけるメンバーとともに作り上げる一人芝居。近藤は「登場人物たちは必死に三者三様にあがいてる。一方、体がそんなに動くわけでもない僕が、決して楽ではない一人芝居をやること自体もあがき。つまり、あがいてる人たちを、あがきながら演じる。生きるヒントや勇気を感じてもらったら、芝居をやる方としてはこれ以上の幸せはないです」とメッセージを送った。
水戸公演は1月23日(日)まで全4公演。東京公演は2月6日(日)まで全4公演。
取材・文:五月女菜穂
関連リンク(外部リンク)
関連タレント
演劇のニュース もっと見る
-
演 劇
2022年07月15日 19時00分 更新「とんでもなく面白い」 舞台『ヒトラーを画家にする話』まもなく開幕へ -
演 劇
2022年07月15日 18時55分 更新ミュージカル『春のめざめ』開幕、抑圧の中で芽吹く性の行方 -
演 劇
2022年07月15日 18時50分 更新「今年は今年の面白さ」 KAATキッズ・プログラムが今年も開幕へ -
演 劇
2022年07月13日 13時00分 更新乃木坂46の久保史緒里が決して“笑わない”花魁役に -
演 劇
2022年07月12日 10時00分 更新円神・山田恭「翼を授かって自信に変えたい」、白鳥雄介の新作で