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チャールズ・ディケンズの長編小説『オリバー・ツイスト』を原作にしたミュージカル『オリバー!』が、東京公演を経て関西に初登場する。初演は1960年。トニー賞とオリヴィエ賞を受賞した名作を、『レ・ミゼラブル』など多くの傑作を手掛けるプロデューサー、キャメロン・マッキントッシュが超大作ミュージカルに仕立て上げた。舞台はビクトリア朝時代のロンドン。孤児のオリバーがスリ集団を束ねるフェイギンと出会い、仲間と共に数々の困難を乗り越えながら家族の愛を求めて生きる姿を描いた感動作。フェイギン役にはマッキントッシュ直々の指名で市村正親。そして市村とダブルキャストを務める武田真治が来阪、意気込みを語った。
“みんなで筋肉体操”やサックス演奏など、多彩な活動で注目される武田。「紅白歌合戦のステージは望んでもできない本当に貴重な経験で、人生のご褒美のように思いました。今回こんな素晴らしい役に出会えたのも人生のご褒美です。舞台は自分にとって闘いのリングだと思っています。ここで行われることが自分の血や肉になるんだという意識でしょうか」。
今回の役を、武田は慣れないオーディションで勝ち取った。「『スウィーニー・トッド』以来この15年、市村さんとの共演の度に多くを学ばせていただいたので、絶対に自分がオーディションを勝ち取って恩返しをするべきだと死に物狂いで取り組みました。合格の返事をいただいて涙が出るほどうれしかったです」。市村とは互いに“弟”“師匠”と慕う間柄だ。70歳の老人を演じるにあたり、市村は武田に「全然違うフェイギンになっていい」と伝えた。「偉大な先輩と同じ役を作っていく過程を見られるのは贅沢なことで、なるべくコピーしたいと思っていたのですが、おっしゃる通り全然違うフェイギンになっていきました」。
東京公演は「子供たちと一緒に歌ったり踊ったり、お芝居するのがとても楽しく、あっという間に1か月が終わってしまいました。産業革命時代の最下層に生きる人々を少年オリバーの目線で描いた作品ですが、力強い登場人物たちなので演じるたびに自分が元気になります」。子役は東阪あわせて総勢66名。大阪公演では12人の関西の子供たちが出演する。「暗くて重い物語をイメージされるかもしれませんが、会話はどれもウィットなジョークにあふれていて、どんな怖い人物でも楽しかったりおもしろかったりする。そんな100年以上前に書かれた原作のユーモアを、大阪の方にはすごく楽しんでいただけるのではないかなと思っています」。
大阪公演は12月4日(土)から14日(火)まで、梅田芸術劇場メインホールにて。チケット発売中。
取材・文:高橋晴代
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